2024年11月20日( 水 )

高騰を続けるビットコイン(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 3つ目の要因は、機関投資家の参入である。17年の相場では、個人投資家が価格上昇の中心的な役割をはたした。しかし、今回の価格上昇を主導しているは米国を中心とした機関投資家で、機関投資家は暗号資産を新たな投資対象の1つとして認識し始めている。

 暗号資産業界でいち早く活躍してきた企業の1つに、ニューヨークに拠点を置く世界最大のデジタル通貨運用会社のグレイスケールがある。預かり資産は104億ドルとなり、増加の一途をたどっている。

 それに加えて、米国決済大手のペイパルの参入により、新規個人投資家の流入が加速している。同社は20年11月、米国における仮想通貨の取り扱いを正式にスタートさせた。全世界で3億人以上の利用者を抱える巨大な決済サービスを行っている同社が、ビットコインの取り扱いを始めた影響は大きい。同社の参入によって、仮想通貨の市場拡大に弾みがつくのは間違いない。予想通り、同社が提供するビットコイン取引サービスは、24時間出来高が110億円(1億ドル)を突破した。

 ペイパルだけではない。米機関投資家が相次いでビットコインの購入を決めている。米マイクロストラテジー(MicroStrategy)は、社債発行で調達した6億5,000万ドル(約670億円)を使い、2万9,646ビットコインを購入。同社はナスダックに上場していて、資金の一部を暗号資産で保有するという大胆な財務戦略を採用し、業界から注目されている。

 そのほか、世界最大のソブリンファンドであるノルウェー政府年金基金も、ビットコインに間接的に投資しているという。VISAも、米ドルに連動した仮想通貨の決済システムの導入を検討している。このような動きはビットコインに対する評価を高めることになり、値上がりの要因となっている。

 4つ目の要因として、ビットコインの需給関連が挙げられる。20年に3度目の半減期を迎えたビットコインは、マイニング報酬が1ブロックあたり12.5BTCから6.25BTCに減少している。半減期を迎えた後、一時的にマイニング収益は減少するが、今まではビットコインの価格上昇によって、マイニング収益は減っていない。

 ビットコインはマイニング業者のサポートによって成り立っている側面もあり、市場を維持するためにも価格が上昇することになる。一方、採掘量の減少は市場への供給が減ることを意味し、希少性が増すことになり、需給のバランスからも価格上昇を引き起こす。

 昨年5月の半減期以降、6.25ビットコインが10分ごとに新規供給されており、その供給量は4年ごとに半減し、2,100万ビットコインで上限を迎える。現在、市場には1,860万ビットコインが流通している。

 今後予定されている供給量は240万ビットコインしかない。市場では、21年もさらなる上昇が見込めるという見方がある。しかし、過熱気味の状況に対し、警戒感が強まっているのも事実である。規制の発表など、暴落を引き起こす懸念がないわけではないが、多くの専門家は今年もビットコインの価格上昇が続くと予測している。

(了)

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