激化する新型コロナ・ワクチンの開発競争:副作用の急増で問われる安全性(中)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。今回は、2021年1月15日付の記事を紹介する。
日本人とすれば、「好事魔多し」という諺を肝に銘じておきたいものだ。アメリカのファイザーやモデルナによる「ワクチンの有効性95%」との報告を受け、日本では国民が接種する際の費用を国が全額負担するとの法律が成立した。菅総理も延期された東京オリンピックを「コロナに打ち勝った証の大会にしたい」と意気込みを語っているが、そのカギを握るのがワクチンである。海外では死亡者も相次ぎ、副作用の深刻さが問題視されている。動物実験もなく、7カ月ほどの超短期の治験で、本当に大丈夫なのだろうか。
海外でも日本国内でも、メディアは有効性の高さを大きく報道しているが、その詳しい内容にはあえて触れようとしない。利益最優先とも見られる動きにファイザーの元副社長のイエードン博士からは「危険極まりない」との批判の声も出ているほどだ。
世界赤十字連盟の調査では、欧米でも日本でも大半の国民が「現時点では接種を希望しない」と懐疑的な反応を見せている。すでにアメリカのみならず、英国でも多くの医師や感染症の専門家が緊急声明を出しており、「現在開発中のワクチンは安全性の検証が不十分であり、重症筋無力症、自己免疫疾患、不妊症、ガンなどを誘発するリスがあるため、使用には慎重にならざるを得ない」との警鐘を鳴らしている。
こうした医療関係者が懸念するのは「ウイルスで死ぬより、ワクチンで死ぬケースが急増する事態」である。実は、日本の厚生労働省で医務技監を務めた専門家でも「個人的には現時点では接種したくない」と語っているほどだ。副作用が懸念されるためであろう。
『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』の副編集長でメリーランド大学薬学部のピーター・ドッシ准教授曰く「現在開発中のワクチンは感染を防ぐものではなく、感染後の症状を緩和することに主眼が置かれている。そのため深刻な副作用の発生があり得る。緊急な接種は甚大な健康被害をもたらす恐れが大きい」。
言い換えれば、現在「緊急承認」され、接種が始まった各種のワクチンは「予防を目的とするものではない」のである。多くの人々は「ワクチンを接種したから、もう感染の恐れはない。これで入院することも、ましてや死ぬようなことはない」と思うかもしれないが、それは希望的観測に過ぎない。ワクチン開発メーカーの資料を読めば、そのことは明らかで、「感染後の症状を緩和する効果」を謳っているに過ぎないからだ。
日本政府はアメリカや英国製のワクチンを大量に緊急輸入する契約を結んでいるが、副作用への備えや安全性の確認を徹底する必要があるだろう。いずれにせよ、無料とはいえ、未知のウイルス対策の実験台にされてしまうのでは、たまったものではない。
いうまでもなく、昨年末以来、ワクチン開発に携わる製薬会社の株価は急騰し、株式市場全体の景気も押し上げているようだ。しかし、こうした期待先行の動きには注意が必要だろう。なぜなら、これまで世界を襲ってきた感染症に対するワクチン開発には少なくとも4、5年の安全性や効果を確認する時間が必要とされてきたからだ。
先ずは動物実験から始め、徐々に人体への応用が試みられるのが通常のパターンであった。ところが、現在、接種が始まったワクチンの場合は概ね昨年2月頃から開発と治験が始まったものばかりである。数万人規模での治験が実施されてきたとはいうものの、動物実験は皆無という。何しろ、感染者が急増しているので、とにかく早急にワクチンが必要というわけだ。
かつて人類が経験したことのない「新型コロナウイルス」と言われながら、そのワクチン開発には「人命軽視」になりかねない拙速な対応が見られる。とくに驚かされたのはファイザーと研究開発面で提携するビオンテックのサヒン博士が「COVID-19用のワクチンは2020年1月25日に数時間で開発に成功した」と語っていることだ。しかも、治験の過程で少なくとも6人の死亡が確認されているのである。この事実はもっと深刻に受け止められるべきではないのか。
とくに、ファイザーのブーラ社長に至っては、ワクチン開発の成功を期待させる記者発表を受け、同社の株価が急騰するや、即座に自らが所有する自社株の62%を売却し、100億円近い利益を懐にしている。通常であれば、「インサイダー取引」に当たる行為であるが、20年8月の段階で「売却予定」を証券取引所に申請することで、違法行為を免れる手配を完了させていたという。
しかも、ファイザーの場合も、モデルナの場合も同じで、治験は第3段階の途中で、いまだ最終的な結果は得られていないのである。第三者機関による安全性や予防効果の検証も行われていない。その上、治験段階でいくつもの副作用が発生しているが、「すべて問題ない範囲」と切り捨て、記者発表用の資料には一切言及がないのである。
さらにいえば、モデルナの場合には3万人の治験者のうち、コロナに感染した参加者は95人で、そのうち、同社のワクチンを接種していたのはわずか5人であった。この5人の結果を基に予防成功率94.5%という発表をしているのである。ファイザーの場合もほぼ同じで、4万5,000人の治験者のうち、170人が感染者で、同社のワクチンを接種していたのは8人に過ぎず、それでも「成功率は90%超」という強気の説明であった。
製薬会社からの宣伝広告費に期待しているせいか、海外でも日本国内でも、メディアは成功率の高さを大きく報道するが、その詳しい内容にはあえて触れようとしない。こうした利益最優先の対応にファイザーの元副社長のイエードン博士ですら、先に紹介したように「危険極まりない」と内部告発的な発言を繰り返している。
日本ではあまり知られていないが、ファイザーといえば、「歴史上最悪の医療データ捏造問題」で09年には23億ドルもの被害者への賠償金を支払った“負の遺産”を背負った製薬メーカーである。これはアメリカで同社が販売したベクストラと呼ばれる炎症治療薬に関するデータの捏造が判明したためであった。他にもファイザーは3種類の薬を違法な手段で製造、販売し、その隠蔽工作のために政府機関にワイロを配ったことでも裁判沙汰を引き起こし、多額の賠償金の支払いを命じられた過去がある。
これでは大半のアメリカ人が接種を希望しないと答えているのも当然だろう。新型コロナウイルスの感染は歯止めがかからず、冬場を迎えた日本では各地で第3波が懸念されている。緊急事態宣言を全国に拡大すべきか、早急の決断が求められる。
一方、世界に目を向ければ、感染者は1億人に迫る勢いである。もちろん、この数字は医療機関などで確認されたものだけで、実際にはもっと多くの感染者が発生しているものと推察される。
著者:浜田和幸
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