2024年12月22日( 日 )

【IR福岡誘致特別連載24】IR福岡誘致開発は各鉄道事業主の救世主

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 筆者は、1月28日付の「【IR福岡誘致特別連載21】市営地下鉄・西鉄・JRの直通相互乗り入れで年間99億円増収」で、IR福岡誘致開発事業が鉄道各社のコロナ収束後の再生策にいかに貢献するかを述べた。

 今回は、先日報道されたJR九州の第3四半期10~12月の▲116億円(前年比▲36.7%と)の赤字、西日本鉄道の同▲105億円(同▲14.2%)の赤字と売上半減を踏まえて、もう一度、これら具体的に説明したい。

 もし、IR福岡の候補地である福岡市東区の海の中道エリアへの誘致開発が実現すれば、既存のJR九州香椎線「海の中道駅」は、ある程度の拡大・改修工事は必須であるが、そのまま使用できる。また、IR福岡の年間予定入場者数は1,280万人、1日当たりの来場者見込みは3万5,000人。ちなみに、以下に述べる各駅の利用者総数は2万2,500人とされる(著名な米国調査企業がコロナ禍前に実施した調査による)。

 さらに、博多駅から海の中道駅までJRで行けるため、遠方からの来場者も新幹線から在来線に乗り換えるだけで問題はない。福岡市営地下鉄は福岡空港駅、博多駅や天神駅のいずれから行く場合でも既存の貝塚駅で西鉄貝塚線に乗り換える。この場合には、西鉄貝塚線は、JR香椎線の千早駅や和白駅で相互乗り入れをして同じ駅構内で乗り換えることができるよう、これらの各社の路線を1本に繋げば、すべての駅から海の中道駅までスムーズに行ける。

 これらすべての鉄道路線の線路幅は1,067mmの「狭軌」を使用しているため、貝塚駅、千早駅、和白駅で上記の各線の相互乗り入れにおいても何ら問題はない。これは、先人がつくった福岡市都市計画の市営地下鉄、鉄道路線計画で明らかになっており、計画時から、鉄道の相互乗り入れを踏まえたうえでの戦略として、軌道幅が1,067mmとなっている。市営地下鉄姪浜駅では、JRとの相互乗り入れがすでに実施されている。

 IR福岡の実現で、JR九州は年間62億円(鉄道事業3.5%増収)、西日本鉄道は同18億円(鉄道事業7.3%増収)、福岡市営地下鉄は同19億円(鉄道事業5.3%増収)と見込まれる。これは、前述した各社の赤字を踏まえたコロナ後の経済再生策としては、信憑性のある“救世主”となり得る。IR福岡誘致開発を実現せず、リモートワークなどが普及して電車利用が減少したコロナ収束後の環境下で、各社の業績をコロナ前と同水準に戻すことは至難の業である。

 併せて、九州大学箱崎跡地を再開発する“スマートシティ構想”において、西鉄貝塚駅東側でJR九州が鹿児島本線に設置する新駅と西鉄貝塚駅の兼ね合い、市営地下鉄と西鉄貝塚線の相互乗り入れ問題の無期延期などを踏まえ、関係者はIR福岡の誘致開発事業を積極的に検討すべきである。鉄道各社の売上と利益をこれほど向上させる新たな“救世主”は、ほかに類がないものだろう。

 コロナ禍を、IR福岡を実現できない理由とせず、反省の種として、コロナ収束後のビジョンを今、描く必要がある。コロナ収束後の“転ばぬ先の杖”の戦略は、主権者の重要な役目である。

 各鉄道事業の担当者は、IR福岡誘致開発事業を民間の組織で実施し、先行しているJCI福岡((一社)福岡青年会議所)を含めた関係者に直接打診して、相互に打ち合わせをすべきだ。

 一般的に言われている、時代錯誤の“ギャンブル依存性”などの問題を主張する反対派や、IR福岡事業への参加における目に見えないリスクを恐れるべきではない。まずは、各関係者に打診をしたうえで、積極的に検討すべきである。これが、経済人に問われている課題なのだ。

 その大義として、コロナ禍で格差社会が深刻化するなか、非正規雇用を含めた新たな雇用創出と、中止企業の業績回復を考慮した経済再生において、IR福岡誘致開発事業は、すばらしいめぐり合わせであり、必然の成り行きだ。“災い転じて福となす”ために、まさしくタイムリーな案件と確信する。

福岡市近郊路線図(福岡賃貸情報専門サイト「ドリームステージ」より引用)
福岡市近郊路線図(福岡賃貸情報専門サイト「ドリームステージ」より引用)

【青木 義彦】

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