2024年12月22日( 日 )

地元を支える老舗地場ゼネコン 創業100年、歴史を越えて未来へ

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(株)松本組

官公庁や民間企業と連携してまちづくりで社会貢献

 建設関連の分野で幅広く事業を展開してきた(株)松本組。インフラ整備と建築の両面で、都市圏のまちづくりに寄与してきた。取引先は官公庁や自治体をはじめ、西日本高速道路(NEXCO西日本)、(独)都市再生機構(UR都市機構)などの公的法人、九州電力や西日本鉄道といった地元民間大手企業など多岐にわたる。

 2016年には創業100周年を迎え、節目としてロゴマークを一新した。「情熱」と「積極性」を表す赤をベースに、スマートな四角形のなかに松本組の「M」をあしらったデザインを採用。これまでの歩みを支えてきた「社会貢献」の企業理念とともに、地域社会を支える総合建設グループとして新たな一歩を踏み出した。

人と人とをつなぐ空間創出で 中核都市としての成長を後押し

水上公園「SHIP‘S GARDEN

 15年には、「天神ビッグバン」の先駆けとなるPPP事業(官民一体型運営事業)として福岡市中央区天神の水上公園に建設された「SHIP‘S GARDEN」(建築主・西日本鉄道(株))の建設工事に参画。敷地形状を生かした三角形の鉄骨造2階建で、延床面積は626.17m2。外壁にはカーテンウォールサッシを、屋上には階段状のウッドデッキを採用して、開放感あふれる憩いの場を生み出した。この実績は、翌16年「第27回福岡市都市景観賞 一般建築の部 大賞」と「第29回福岡県美しいまちづくり建築賞 大賞」をダブル受賞するという輝かしい結果に結びついた。

 また、都市部や観光地における実績としては、インバウンドや国内観光客からも注目を集める県内の「スターバックスコーヒー」の施工も手がけた。散歩やジョギングで多くの市民が集う福岡大濠公園店(10年完成)や、世界的建築家・隈研吾氏の設計で話題を呼んだ太宰府天満宮参道店(11年完成)といった人気店舗を完成に導いた。

 さらに18年11月に開業した福岡市内最大規模の商業施設「マークイズ(MARK IS)福岡ももち」(建築主・三菱地所(株))の施工にもJVとして参加。店舗面積は4万8000m2。1〜4階の4フロア構成で、建物中央部の1階から4階まで続く吹き抜け空間と、施設のシンボルとなる幅約9m、長さ約20mの大階段が特徴だ。

スターバックスコーヒー(大濠公園)

自然災害からの復興は公共事業とのマッチングがカギ

マークイズ福岡ももち

 その一方で、土木事業では創業時から変わらず、社会インフラの整備に力を注いできた。18年3月に完成した多目的ダム「五ケ山ダム」(那珂川市)の建設にはJVとして参加。土木、建築、舗装と、創業から培ってきた技術とノウハウが、最新技術と結集した代表的な実績となった。規模としては県内最大の総貯水量4,020万m3(PayPayドーム約22杯分)を誇り、今や福岡市内における治水対策の要となっている。

 近年でもっとも大きな課題は、県内および九州全域で甚大な被害をもたらした自然災害からの復旧・復興だ。災害対策については「建設業にとって防災は日常。公共事業とのマッチングが重要になる」と松本優三社長。浸水対策整備事業や軌道保守工事、河川や道路の点検などインフラに関わる土木関連工事を数多く手がけてきたからこそ、災害復旧のカギが明確にみえてきた。

インフラ整備需要の高まり 土木関連事業が好調

 民間の設備投資が冷え込み、公共事業における業者間の競争が厳しくなるなか、毎年のように発生する自然災害の復旧作業で、土木関連工事のニーズが高まっている。昨年度はグループ合算売上高104億円、グループ合算経常利益5億6,000万円(20年6月)と堅実に業績を伸ばす。

 ただ、採用については「今後は状況次第」と松本社長。とくに、建築分野では人材の確保が大きな課題だ。対して土木事業については「公共事業を中心にこれからもニーズがあり、とても将来性がある」。毎年一定の採用実績もあり、同社にとって今後より重要度を増す事業となることは間違いない。

 インターネットやAI技術の発展でさまざまな技術革新を遂げた建築業界においても、地元福岡で地道に実績を重ね、進化の過程を見てきた強みがある。古き良き技術と最新テクノロジーを駆使しながら、確かな展望をもってこれからの100年に向かう。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:松本 優三
所在地:福岡市東区馬出1-1-19
設 立:1966年5月
資本金:1億円
TEL:092-651-1031
URL:https://matsumotogumi.net


<プロフィール>
松本 優三
(まつもと ゆうぞう)
1957年、福岡市生まれ。明治大学商学部卒業後、81年に(株)松本組へ入社。常務取締役、代表取締役副社長を経て、94年7月、代表取締役社長に就任した。福岡県建設業協会会長、建設業労働災害防止協会福岡県支部顧問。

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