2024年12月23日( 月 )

『脊振の自然に魅せられて』ハイノキと3年ぶりの感動の再び(後)

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みずみずしい新緑のブナ林

 ハイノキの撮影を終えて、歩いて20分ほどの距離がある金山山頂に向けて進んだ。ここから急登の山道が続く。花の時期は終わっているはずのミツバツツジが、霧のベールのなかに花を輝かせていた。スマホのカメラでミツバツツジを撮影した。

 金山山頂に着いた。霧に包まれて誰もいない山頂の光景を撮影し、脊振山方面の縦走路へ足を進める。

 期待していた、霧のベールに包まれた新緑のブナの撮影にかかったが、10分ほど経つと天候が回復して霧が晴れてきた。自宅を出発するのが30分遅かったようだ。それでも雨上がりの新緑は美しく、みずみずしい新緑のブナを撮り続けた。

 しばらくすると、ブナが林立する縦走路に1本の白い花が飛び込んできた。満開のハイノキである、こんな所でも咲いてくれているのか。さっと撮影を済ませて、縦走路を奥へ進む。

 脊振山系では、ブナの大きな幹が数本ある。ブナの樹木が最も美しい場所で、雨上がりのみずみずしいブナの撮影を終え、山好きな人しか通らないマイナールートを下る。

満開のハイノキ

 山道を下り続けると、満開のハイノキの大木が現れた。さらにアップダウンのある道を5分ほど進むと、満開のハイノキが道の両脇に咲いていて、そこからヤブのなかに目線を送ると、真っ白な花を咲かせたハイノキの群生が見えた。

 背の高いハイノキもあれば、背の低いハイノキもあるが、どの樹木も真っ白な花を咲かせている。周辺一面が白いハイノキの林となっていた。筆者は身震いするほど深い感動を覚えた。実にすばらしい、このような光景は見たことがない。

 2台のカメラで撮影を始めた。オートフォーカスからマニュアルにズームレンズを切り替えて花にピントを合わせて、何度も撮影した。

1つ1つのハイノキの花はかわいい
1つ1つのハイノキの花はかわいい

 撮影を終え、持参したコーヒーとアンパンを食べながら、ハイノキの側で休憩した。簡単な昼食であるが、花に囲まれた贅沢な時間であった。

 筆者は後日、この満開のハイノキ林を2度、訪れた。

 ワンダーフォーゲル部の後輩らを誘った日は小雨となり、ハイノキが霧に浮かぶ素晴らく幻想的な光景を目にした。また、「脊振の自然を愛する会」の Mを誘い、別ルートの縦走路からこの地を案内した。新緑の縦走路を歩くと、縦走路の側にハイノキ、ヤブツバキ、ドウダンツツジ、コゴメウツギと次々と山の花が咲いていて、山歩きを楽しみながらハイノキ林へ着いた。

 Mは感動し、脊振にこんなすばらしい場所があるのかといった。筆者より3歳年上の80歳であるが、まだまだ山を歩けるため、誘ってよかったと感じた。満開の時期を過ぎようとしているハイノキ林に数年後の再会を告げて、山を下った。

 歩く途中で出会ったヤブデマリの白い花が日の光を受けて、透けて見えた。明るい新緑が輝く山道を歩くのは快適で、ここでも満開のハイノキが筆者らを歓迎してくれて、すばらしいハイノキとの出会いに大いに満足した。

 今年は、5回もハイノキに会いに行った。脊振は、なんとすばらしいところだろう!

(了)

2021年5月11日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

(前)

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