2024年12月22日( 日 )

オンラインゲーム革命「GORAKU WORLD MARKET」~ゲームとウォレットの融合で世界に挑む中村龍道氏(前)

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 カジノゲーミング事業をはじめとするリゾートビジネスを香港・マカオ・米国など世界各地で手がけてきた中村龍道氏。近く、オンラインゲームとデジタルウォレット(電子決済)を融合させた世界初の事業をリリースする。オンラインゲーム革命の幕開けとなりそうだ。

リアルからオンラインへ

中村 龍道 氏
中村 龍道 氏

 昨年9~10月、中村龍道氏のインタビューを掲載した。中村氏は「次世代型ワールドオンラインゲーム」について、カジノ・ゲームをオンラインで形成し、これにデジタルウォレットを融合させた新たな市場を開拓すると語っていた。約半年が経過し、満を持して市場に登場する。 

 中村氏は国内外で数々の事業を手がけて、とくに海外で成功を収めてきた。特筆すべき点は、香港、マカオ、米ラスベガスでのリゾート&カジノゲーミング事業。立ち上げから事業化までを手がけて実績を残してきた。カジノゲーミング事業は、法律や業界内のレギュレーションなどが煩雑で、それを熟知して活用できるノウハウと人脈が必要とされる。中村氏は煩雑な事業の創設を誰よりもスピーディーに実現。優れた実績により、アジアの各政府から厚い信頼を得ている。

 その一方で中村氏は、リアルで行うカジノゲーミング事業に限界を感じていた。それは施設内でのサービス提供であるためだ。施設にはカジノのマシンが必要となる。マシンは常に最新型が続々と登場し、メーカー間の競争は過熱の一途をたどっている。

  過去のインタビューで中村氏は、「カジノマシン1台をつくるために、数十億円の開発費や3年以上の開発期間を費やします。持ち帰りとなれば、これがすべて無駄になってしまいます。カジノの世界はとてもシビアな世界なのです。幸運にもパートナーと開発・販売した競馬マシンは高評価を獲得できて、引き合いも多かったのですが、マシンは一度売ってしまえばそれで終わり。メーカー側は、数千台販売できて初めて利益が出ます。数千台未満だと、あまり商売にならないのです」と生々しいカジノの世界を語っていた。

 中村氏は国内パチンコ業界でも名を馳せた。ただ、パチンコ業界は日本固有の娯楽文化であり、「パチンコの世界での認知度は6%」(中村氏)だったという。一方、カジノは世界140カ国に進出し、各国トップクラスのホテルやリゾート施設に備えられ、富裕層の社交の場となっている。中村氏は「パチンコとカジノを融合させた社交空間をつくろう」と一念発起し、契約直前まで進めたものの、双方の事情で頓挫した経緯がある。 

 中村氏はマカオのカジノ業界の要望に応えるために、パートナーとマシンをマカオの「海立方娯楽場」(SJM)に納入。日本人初の快挙となった。世界各国のカジノゲーミング規制当局は、試験機関のGLIやBMMなどが定める標準規格を採用する。GLIの標準規格を採用するカジノ市場は80%を超え、業界一の試験機関である。参考までにいうと、マカオのカジノ市場は、施設(ホール)、運営企業、政府が一元化した管理下にある。売上や来客数などの詳細なデータはすべて共有される。数値を操作することは不可能で、すべてガラス張りの情報公開となる。

 マカオではカジノの売上に対して計39%の税金が課せられる。1日に数回巡回して税金を回収するという。回収した税金は住民に還元される。医療と教育は無償で受けられる体制を敷く。我が国の娯楽市場とはまったく異なる。

  国内パチンコ業界の関係者から誹謗中傷を受け、苦境下にあった中村氏は孤軍奮闘しながら、次なる一手を準備。そして今年、オンラインゲームとデジタルウォレットを融合させた世界初のビジネスモデル「GORAKU WORLD MARKET」を海外パートナーとともにリリースする。リアルからオンラインでの市場形成へと発想を転換したのだ。  日本の娯楽文化を提唱  リアルでのカジノ市場の限界を感じ、オンラインによる市場開拓を吟味していた中村氏は、世界一のエンターテインメント企業であるサンシティグループ(太陽城集團)が、オンラインカジノだけで大きな業績を上げたことを知る。

 中村氏は「これからはオンライン事業だ」と決断し、事業化に着手。オンライン事業はカジノだけでなくゲームも対象とした。中村氏とともに事業をつくり上げる仲間は、コンサルティングを行う立ち位置。中村氏はマカオのカジノゲーミング企業と提携し、アドバイザーとして事業を推進するビジネスモデルを構築した。その一例が「GORA PACHI」「GORA SLOT」。パチンコとスロットのデジタルゲームである。

  「GORA」のネーミングは、日本発祥の娯楽であるパチンコとスロットを世界中に広めたいという思いを込めて名付けた「GORAKU WORLD MARKET」に由来する。

  「現在、斜陽産業であるパチンコ・スロット業界の関係者に事業プランを説明しました。しかし、まったく相手にされませんでした。そこで、独自のパチンコ・スロットをゲームとして開発することになりました。開発のコンサルティング総責任者である渡邉輝明氏(フィリアウェルスエンターテイメント(株)代表取締役)と協議を重ねながら、海外開発パートナーと『GORA PACHI』『GORA SLOT』を開発したのです。昨年9月、海外技術者を仲間に加えて開発組織を一元化し、海外パートナー企業と一緒に取り組んできました。そして約6カ月間で、ゲームとデジタルウォレットを連動させた世界初のオンラインゲームモデルが誕生しました」(中村氏)。

(つづく)

【河原 清明】


<プロフィール>
中村 龍道
(なかむら・りゅうどう) 
 1969年6月生まれ、鹿児島県出身。大手土木、建築資材販売・レンタル会社で経験を積んだ後、95年に起業。地元・鹿児島を拠点に飲む温泉水、温泉水を使用した基礎化粧品の販売を展開し、成功を収める。2004年に中国に渡り、当時としては珍しい日本人向けナイトクラブを4店舗運営。現地で評判になると同時に、その経営手腕が高く評価され、06年に趙紫陽元中国共産党総書記の実子である趙衛國氏らの協力を得て、マカオ特別行政区で事業を開始する。以降、マカオを中心に北京や大連などで精力的に事業を展開。地元・鹿児島産の製品やサービスの中国市場での定番化にも尽力した。

 10年代に入ると米国ラスベガス市場に参入。ZANN CORPORATIONを買収し、カジノ総合事業を中心としたリゾートプロジェクトや、インドネシア、香港、マカオ、中国、台湾などの企業と共同で多岐にわたる事業をスタート。香港とシンガポールでZANN CASINOクルーズをグランドオープンさせると、業種の垣根を越え、アパレル、不動産開発などで数々の実績を残す。現在もアジアを中心に、地域振興による世界平和と繁栄を目的に、清濁併せのむ覚悟をもって活動している。ZANN CORPORATION Chairman、中華人民共和国陝西省韓城市人民政府顧問。

(後)

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