改正特商法が成立、悪質な定期購入商法に「直罰」導入
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契約解除の妨害を禁止
健康食品や化粧品の悪質な定期購入商法への対策を盛り込んだ改正特定商取引法・預託法が9日、参院本会議で賛成多数により可決、成立した。公布後、1年以内に施行する。
「お試し価格500円」「初回無料」とうたって健康食品や化粧品の購入契約を結ばせるが、実際は複数回の購入を条件とした定期購入契約で、高額な料金を請求されるという被害が拡大。消費者の相談件数は2020年に5万9,172件と過去最多を記録した。
悪質な定期購入商法に対応するため、改正法は、定期購入ではないと消費者を誤認させる表示に対して「直罰」を導入。これまでは特商法に基づく行政処分(業務停止命令など)で対応してきたが、改正法の施行後は行政処分のほか、刑事罰を直接科すことが可能となる。
制度面では、定期購入と知らずに申し込んだ場合に取り消しを認める仕組みを創設。これと合わせて、事業者による契約解除の妨害行為を禁止する。「〇〇日以内ならいつでも取り消せる」と広告しながら、消費者が契約解除を求めると、「解約の申請期間外」などと嘘をついて妨害するケースに対応した措置だ。
また、適格消費者団体の活動範囲を拡大する規定も盛り込んだ。適格消費者団体の差止請求の対象に、定期購入について消費者を誤認させる表示や契約解除を妨害する行為を追加した。
送り付け商法、商品到着後すぐに処分可能に
改正法は、消費者宅に一方的に商品を送り付けて、代金の支払いを請求するという「送り付け商法」への対策も盛り込んだ。
現行法では、商品を送り付けられた消費者は14日間保管しなければならず、その後に処分が可能となる。これに対して改正法は、送り付けた事業者が商品の返還を請求できない規定を設け、商品の到着後すぐに処分できるようにした。
電子メールによるクーリング・オフ通知が可能に
改正法は、消費者がクーリング・オフを希望する場合、これまでの書面(紙)による通知に加えて、電子メールによる通知も可能とする。
一方、事業者に交付を義務づけている契約書面についても、消費者の承諾を得て、電子メールで送付できるようにする。
契約書面の電子メールによる交付については、消費者団体や法曹界、野党議員などが反対していた。家族が契約書面を見つけて被害に気づくケースが多く、電子メールによる交付が被害拡大につながると懸念している。
【木村 祐作】
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