【IR福岡誘致開発特別連載42】IR横浜、築地市場跡地に誘致の可能性も
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前回、「IR横浜はセガサミーとゲンティンで決まり」と述べた。6社タッグ(ほかはALSOKおよび鹿島建設、竹中工務店、大林組)による形態で進められ、今後変更はないと思われる。スーパーゼネコン3社が1つにまとまるようなケースはほかに例を見ず、この最強タッグに対抗可能な新たなチームが出現するはずがないからだ。それゆえ、IR横浜には熾烈な競争は起こり得ないだろう。これには現政権による強い政治力を感じる。
これは、里見治セガサミー会長(79歳)の手腕と、その後ろ盾の現政権によるものと考えれば、納得できる組織組成である。もう1つの候補のメルコリゾーツ&エンターテインメント(中華系の世界的な大手)には、日米経済安全保障問題の観点から、対抗する術は一切ないと思われる。
8月の横浜市長選挙がIR横浜実現のターニングポイントとなるとみられる。現職の林文子市長(75歳、3期目)が再選できるか否かにかかっているが、菅政権と自民党横浜市連は林市長の4選には否定的で、別の強力な候補者を探しているのが現状だ。
今回の大きな争点の1つであるIR誘致開発事業に反対する立憲民主党をはじめとする各野党会派は、山中竹春横浜市立大学教授(48歳)を擁立し、一本化、反対に弾みをつける構えだ。同氏は早大院修了の臨床統計学の専門家で、コロナに関する抗体の研究なども手がけている。菅政権の支持率などを勘案すれば、自民党の推す候補者にとって厳しい選挙となるものと思われる。
加えて、全国港湾労働者組織を束ねる港湾荷役の「ドン」である藤木幸夫藤木企業(株)代表取締役会長(90歳)が山下埠頭へのIR誘致開発に強く反対している。里見会長でも藤木会長に対峙するのは容易ではない。老獪な2人による権謀術数の闘いにサラリーマン出身の幹部などが割って入れるわけがない。
筆者は、この選挙後のプランまで含め、すでに構築されているものと見ている。彼らは、それだけの能力と経験値を有している。
東京オリンピックの終了後、IRに関しても小池百合子東京都知事の存在が注目されるようになるはずだ。現在、菅政権に対して従順な姿勢でコロナ、オリンピックに対応している。セガサミー里見会長ともつながりがある。
横浜市長選挙で、上記の山中氏が当選した場合は、横浜市のIR誘致計画は窮地に陥る。ただ、政府と里見氏はこのケースについても織り込み済みだと見なすのが妥当である。そこで彼らと親しい小池都知事が間髪を入れずに「東京築地跡地を利用したIR」誘致開発事業をブチ上げるのではないか。小池知事は以前から築地跡地の利用を公言していた経緯がある。
その際にはもちろん、横浜市のチーム編成のまま移行すればよい。スーパーゼネコン3社にも織り込み済みの「B案」ということである。筆者は、政府はこれを受けて申請受付の締め切りを来年4月末から延長すると予測する。
当初から説明している通り、IRの候補地が東京都中心の関東都市圏か、大阪市中心の関西都市圏か、今後予想される福岡市中心の北部九州都市圏となれば、筆者の予測がすべて的中することになる。和歌山、長崎の反対派は当初「ギャンブル依存症」への批判を主な反対理由としていたが、コロナを受け、後背地人口の少ない地域での「観光客を主体としたIR誘致開発事業計画」には無理がある主な反対理由を変えている。このような市民の判断は実に正しいと思う。
【青木 義彦】
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