東京五輪・パラリンピックを仕切る電通は、最大の黒幕企業だ!(前)
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“黒幕”とは、歌舞伎の舞台にある黒い大きな幕に由来する。舞台の場面の転換を表わすために黒い幕を張った。その陰で舞台を操ることから、裏で操る人を“黒幕”と言う。とくに権力者の意味が強くなり「政界の黒幕」などと用いられる。黒幕を稼業としている企業もある。国内広告シェア2割強で圧倒的首位の電通は、国内最大の黒幕企業だ。黒幕ぶりを発揮したのが、東京五輪・パラリンピックの一連の騒動だった。
東京五輪のマーケティング専任代理店
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は2014年4月17日、国内の協賛企業獲得などマーケティング活動を担う専任代理店として(株)電通と契約した。
大会運営費は3,000億円。組織委は国内マーケティング収入として、その半分に当たる1,500億円を目指す。協賛企業は、五輪マークやロゴを使って広告活動を行う権利を得る。
組織委は15年1月から日本オリンピック委員会(JOC)とジョイント・マーケティングを開始。電通は、その中核にいて資金集めを担った。オリンピックとは、国際オリンピック委員会(IOC)の巨大なライセンスビジネスであり、すべての協賛金、スポンサー収入、放映権などのすべてをIOCが召し上げ、開催地に半分程度が還元される。その巨大な利権を黒衣(くろご)として采配するのが、唯一のマーケティング専任代理店となった電通なのだ。
「裏金」づくりのコンサルタント会社を推奨
英紙ガーディアンは5月11日、招致委員会側による巨額な「裏金」疑惑を報じた。東京五輪開催の決定(13年9月)当時のIOC委員で、15年にロシアのドーピングもみ消しに巨額賄賂を受け取ったとして逮捕された、国際陸連前会長のラミン・ディアック氏(セネガル)周辺を捜査していたフランス検察当局からの情報を伝えた。
招致委側は、シンガポールにある実態のないコンサルタント会社「ブラックタイディングス(BT)社」に2億2,300万円の資金を支払っていた。
「裏金」づくりに黒衣として大いに力を発揮したのが、電通である。参院文教科学委員会は5月24日、東京五輪招致の裏金疑惑問題で、招致委員会理事長を務めたJOCの竹田恒和会長を参考人に招いた。松沢成文議員(無所属)は、「BT社と2億円超のコンサルティング契約を結ぶにあたり、国際陸連前会長のディアック前会長と親しい電通元専務の高橋冶之氏が関与しているのではないか」と指摘した。
高橋氏は02年、日韓ワールドカップに携わった実績があり、現在は大会組織委員会の理事を務めている。竹田会長は「(招致委事務局が)高橋氏に聞いたということを、まったく私は聞いていない。電通の推薦を受けたということしか聞いていない」と高橋氏の関与を否定した。電通の紹介でBT社に決まったということだ。
(つづく)
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