2024年12月22日( 日 )

ワクチンは「切り札」でなく「災厄」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「ワクチンは切り札にならず、むしろ、「ワクチンは災厄」を生みつつある。新型コロナワクチン接種後の死亡事例が多すぎる」と訴えた6月26日付の記事を紹介する。

宮内庁長官が「天皇陛下は五輪を懸念している」と発言したことが波紋を広げているが、重要なことは天皇が東京オリパラの名誉総裁の職に就いていること。

天皇がオリパラについて発言すべきでないとするなら、そもそも天皇をオリパラの名誉総裁の職に就任させることがおかしい。
天皇をオリパラの職に就任させているのだから、天皇がコロナ禍の下でのオリパラ開催を懸念しているとの意向を重く受け止める必要がある。

天皇の発言をどのように取り扱うかは憲法上の判断が必要になる。
天皇は政治上の権能を有さないことを踏まえることは必要だ。

その天皇をオリパラの名誉総裁の職に就けていること自体が天皇の政治利用にあたるといえる。
政治利用しておきながら、コロナ禍の下でのオリパラ開催に懸念を示すと、その発言を無視するというのは究極の二重基準=ダブルスタンダードだ。

そもそも、天皇をオリパラの名誉総裁に就任させていることがおかしい。
他方、天皇がコロナ禍の下でのオリパラ開催強行に懸念を示すのは順当だ。

菅義偉氏は「国民の命と健康が最優先」と明言した。
国民の命と健康が最優先なら五輪開催強行という判断は生まれる余地がない。
五輪開催は5万人から8万人の外国人を入国させるスポーツ興行。
すでに入国者から複数のコロナ陽性者が確認されている。

水際でウイルスを遮断しなければならないところ、ウイルスを保持する外国人の入国を容認した。
菅内閣のコロナ水際ザル対応は見事というほかない。

ウガンダ選手団は今回のオリパラにともなう外国人入国の2カ国目。
この段階で複数のコロナ陽性者が確認されているのだから、今後の展開を容易に想定できる。
入国外国人から相次いでコロナ陽性者が確認されることになるだろう。

その際、確認されるコロナウイルスが変異株である可能性は高い。
世界各地のコロナ変異株が日本に持ち込まれる。
ウイルス有効性を引き下げる新しい変異株が確認されることもあるだろう。

2020年5月にピークを記録した日本の感染第4波はN501Y変異株による感染拡大であったと見られる。
第4波はピークを通過したが、感染再拡大が観測されている。

感染第5波の中核はL452R、E484Q変異株になる可能性が高い。
感染力が強い、重症化率が高い、ウイルス有効性が低い、との特徴を備えていると見られる。
ここにさらに新たな変異株が加わることになる。

新規陽性者数はすでに増加に転じた。
7月から10月にかけて、再び感染爆発の状況が生じる可能性を否定できない。

このような情勢であるから、国民の命と健康を最優先に位置付けるなら、東京オリパラの開催を断念するしかない。
天皇の意向は、こうした当たり前の判断を示すものであるといえる。

菅義偉氏が五輪開催を強行しようとしている理由は「自分の利益」。
「国民の命と健康が最優先」と口で言いながら、実態は「自分の利益が最優先」なのだ。
決定的な矛盾。
算命学は不幸の原因が矛盾にあるとする。
菅義偉氏の決定的な矛盾が不幸を生み出す。

しかも、菅義偉氏は有観客開催をゴリ押ししようとしている。
五輪に1万人の集客を認めさせるため、まん延防止など重点措置でのイベント収容上限を1万人にした。

このこと自体に問題がある。
上限を少なくとも5,000人にとどめておくべきだった。

単独で1万人の興行が行われるのと、30の会場でそれぞれ1万人の興行が行われるのとではまったく意味が異なる。
30カ所で開催すれば人流は30倍になる。

従って、集客上限を定める場合には「五輪」というイベントの集客上限を定めるべきだ。
1日の「五輪」観客上限を1万人とすべきだ。

組織委は「利権の祭典」であることを背景に開会式入場者数を2万人弱に設定しようとしている。
菅義偉氏は「自分の利益」のために「国民の命と健康」を踏み台にして五輪開催を強行しようとし、組織委は「カネ」のために開会式に2万人弱の入場者受け入れを強行しようとしている。
これらの愚行で日本は最大危機に見舞われることになるだろう。

菅義偉氏は「ワクチンが切り札」と述べるが、ワクチンは切り札にならない。
むしろ、「ワクチンは災厄」を生みつつある。
新型コロナワクチン接種後の死亡事例が多すぎる。

厚労省審議会での報告では6月18日までの集計で新型コロナワクチン接種後の死亡事例が356人とされている。
接種を受けた人数は2,300万人程度を見られる。
ワクチン接種後死亡確率は0.0015%。

これに対してインフルエンザワクチン接種後の状況はどうであろうか。
18~19年シーズンの報告によると接種回数5,251万回に対して、接種後死亡事例は3人だ。

インフルエンザワクチンの接種後死亡確率は0.000006%。
通常のインフルエンザワクチンのリスクは極めて低いといえるが、新型コロナワクチンのリスクは低いといえない。

2,300万人が接種を受けて、356人もの人が接種後に急死している。
これ以外の副反応は極めて多数の人に発生している。

日本人で、コロナで死亡した人は1万4,600人程度。
コロナで死亡したと言っても、死亡した人がコロナ陽性であればコロナ死にカウントされている。

コロナが主因で死亡したとはいえない。
その確率は0.012%。

コロナ死亡確率はワクチン接種後死亡確率の8倍程度でしかない。
コロナ陽性者数は人口全体の0.6%。
人口の99.4%はコロナに感染していない。
99.4%の人がコロナに感染していないのに、国民全員にワクチンを接種する理由がない。

わずか4カ月に356人もの人がワクチン接種後に急死している。
通常のインフルエンザワクチンでは接種後死亡事例は5,200万回接種でわずか3人と報告されている。

356人のワクチン接種後急死は重大事実。
「1人の人の命は地球よりも重い」などといわれるが、356人の人の命は完全な見殺し状態だ。

ワクチン接種後に急死しても因果関係を科学的に立証することは極めて難しい。
因果関係を科学的に立証できなければ「因果関係は認められない」で処理される。

この論議が起こると直ちに出てくるフレーズは
「ワクチン接種のメリットはリスクを上回る」
だ。

ワクチン接種進捗で集団免疫が獲得されれば社会が得るメリットが大きいというわけだ。
このメリットを受けるのは政府、為政者だ。

お国のために一定の国民には犠牲になってもらうということ。
一定の数の国民が命を落とすことは社会全体が受けるメリットよりも小さなもの。
この判断が正しいといえるか。

高齢でない健常者がコロナ陽性になった場合に、重篤化する確率は極めて低い。
人口の99.4%はコロナ陽性になっていない。
0.6%の人がコロナ陽性になったが、高齢でない健常者で重篤化した事例は極めて少ない。
この領域に含まれる人がワクチン接種を受けるメットは皆無に近い。

他方、ワクチン接種後には6月18日までの段階で356人が急死している。
356人の死者という数値は「大規模災害」級。
直ちにワクチン接種を中止すべきだ。
メディアは356人の死亡事例の詳細を徹底的に調査して報道すべきだ。

賢明な人の多くはワクチンを接種しない。

このなかで日本の感染第5波が急拡大する可能性がある。
五輪開催を断念すべきとの判断は順当すぎる。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

関連記事