2024年11月05日( 火 )

【倒産を追う】アイリンク・アソシエイツ破産、目移りと他者利用優先主義で行き詰った井野和弘会長(1)

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井野 和弘 会長
井野 和弘 会長

 (株)アイリンク・アソシエイツおよび関連会社の(株)プログレ、ワールドビジネスマネジメント(株)が7月15日、負債総額約8億5,000万円で破産手続き開始決定を受けた。井野和弘アイリンク・アソシエイツ代表取締役会長に焦点を当ててみよう。同氏には一度、広告代理店を倒産させた経歴がある。このことに関して経営の総括を徹底的に行っていたと思っていたが、どうやら教訓をまったく得ていなかったことが判明した。破綻の根本的な原因は、当人の性分、すなわち目移りと他者利用優先主義であると筆者はみる。

自慢は梁山泊体験

 井野会長の自慢は「梁山泊」体験だ。平成初期に将来のネット通販ビジネス勉強会に参加しており、そこから生まれて大きく飛躍した企業が何社もある。オーナーが参加していた新日本製薬(株)は大化けして上場させるまで発展した。青汁で大成功した(株)アサヒ緑健の創業者も勉強会に名を連ねていた。その後上場した不動産会社社長も常連であった。井野会長もこの「梁山泊」体験を通して、「俺も負けじ」と広告会社を起こしたが、あえなく倒産した。

一時は再起のチャンスもあったが

博多区綱場町の自社ビル 広告会社倒産後、暗澹とした気持ちで過ごしていた。「梁山泊」の同志とされる人物が経営する会社の広告コンサルを担当する健康食品促進本部長に就き、生活面ではプレッシャーはなかった。健康食品領域で水素水がブームとなり、早速これに便乗した。そこで「経営できる」という自信をつけたとみられ、同志の会社から独立し、新会社を起こしたのである。当初、水素水ビジネスとの縁は今年4月に倒産した水素水生成器の卸業者のエコモ・インターナショナル(株)(飯塚市、福岡和久代表)との出会いであった。ただ長い付き合いにはならなかったが。

 井野氏は水素水からからさまざまな健康食品にまで取扱商品を広げ、コンサル実績を積んだことで、会社は表面上活気を帯びた様相を呈していた。博多区綱場町に自社ビルを安値で購入できた時が再起後の絶頂の時であった。この時点で本業をしっかりと定めていれば、事業発展の余地は残されていたであろう。

イタリアンレストランへの莫大な投資が命取りに

那珂川沿い、国体道路沿いの飲食店ビル  数億円を投資して、那珂川沿い、国体道路沿いの飲食店ビルに大規模なイタリアンレストランを開店させた。しかし、バーとしての色彩を打ち出すのか、イタリア料理が主体なのか明確でなく、レストランのターゲットが定まっていなかった。加えてスタッフの教育は素人レベルであり、お客を満足させられるわけがない。付き合いで訪問したお客はいたが、これでは3回までが限度。それら親しいお客の足も遠のいた。

 開店してから1年も経っていなかったと思うが、あえなく閉店した。それ以降、井野会長の打つ手はことごとく裏目となる。レストラン事業に投資したことによる債務は拡大する一方。他者の事業コンサルができて自身の事業であるイタリアンレストランを継続できないとは情けない話である。目移りする性分が命取りになったのであろう。

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