イーサリアムが価格上昇、ビットコインを将来追い抜くのか(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
仮想通貨(暗号資産)のなかで時価総額2位のイーサリアムは7月に入って価格上昇を続け、2018年に記録した史上最高値を更新した。イーサリアムの価格はここ2週間で、222ドル(約24,000円)から400ドル(約43,000円)まで75%も上昇し、イーサリアムの時価総額は3,800億ドル(約41兆6,031億円)を超えた。ヨーロッパの投資銀行が1億ドル規模の債権をイーサリアムで発行することを発表するなど、金融機関でもイーサリアムへの関心が高まっている。今回は、イーサリアムが価格上昇をしている理由を取り上げる。
5日に実施された大型アップデート
イーサリアムは5日、大幅に機能をアップグレードする「London(ロンドン)」ハードフォークが進められた。ハードフォークとは、本来のブロックチェーンとは別に新たに作成したチェーンを、正しいチェーンとしてノードが管理する仕組みのことだ。
今回のロンドンハードフォークでとくに注目を集めたのは「EIP-1559」だ。高騰するガス代(トランザクション手数料)を削減する仕組みに留まらず、何と言ってもイーサリアム(ETH)の価格を上昇させる仕組みが導入されたことが大きな特徴であろう。イーサリアムはビットコインとは異なり、発行上限がないため、これまで価格を上昇させるための仕組みが存在していなかった。今回のアップグレードで焼却(BURN、発行済みの仮想通貨の枚数を減らすこと)の仕組みが導入されたことで、イーサリアムの数量の増加を抑えることにつながる。今回のロンドンハードフォークに注目が集まった理由は、ガス代の削減と供給量の調節があったためだ。
アップデートがもたらす今後の価格動向
ガス代の高騰が解消されて、コストが合理的な水準になると、イーサリアムがより多くのDApps(分散型アプリ)で使用されるようになる。供給量が調整されて希少性が高まると、価格上昇につながるという期待により、価格上昇が起こっている。
業界の関係者はガス代が安くなり、コスト負担が少なくなると、イーサリアム上でビジネスが展開されているNFTや分散型金融サービスなどもさらに盛り上がりを見せるだろうと指摘した。業界では、イーサリアムの供給量は今回のロンドンハードフォークで年間約4%減少するだろうと予想されている。
さらに合意アルゴリズムが、これからProof of Work(PoW、プルーフ・オブ・ワーク)からProof of Stake(PoS、プルーフ・オブ・ステーク) に変更されると、イーサリアムの供給量はより一層減少する。
現在のPoWという承認方式では、コンピューターで高速な計算をした方がより多く報酬を得られるため、計算量を競い合うことによる消費電力の増加と、それによる環境への影響も問題となっている。そこでイーサリアムは、PoSという承認方式への変更を進めている。PoSでは、コンピューターの計算ではなく、イーサリアムの保有によって報酬が得られる。価格上昇は、このような現実的な需要増加とアップデートによる期待感に支えられて起きている。一部では、イーサリアムはビットコインを追い抜いて仮想通貨のなかでトップに立つと予想する向きもある。
(了)
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