2024年09月09日( 月 )

PayPay、中小業者のスマホ決済システム利用を有料化

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PayPayのぼり旗   スマートフォンを使うQRコード決済最大手「PayPay(ペイペイ)(株)」(東京都港区)が10月1日、これまで無料だった中小加盟店(年商10億円未満)の決済システム利用料を有料化する。料率は2%未満と業界最低水準であるが、コロナ禍における飲食店などのサービス業の負担は小さくない。

 QRコード決済など現金を使わないキャッシュレス決済は、政府のビザ発給要件の緩和と円安による2013年以降の訪日外国人旅行客の急増で注目されるようになり、国内の取引が現金偏重でキャッシュレス決済の比率が国際水準を大きく下回る実態が浮き彫りになった。

 キャッシュレス決済は、使う側(ユーザー)と売る側の双方が取り入れないと普及しない。そのため、政府は19年10月の消費増税に合わせて、キッシュレス決済ユーザーにポイント還元する仕組みをつくった。

 一方、売る側は、キャッシュレス決済に対応する機器の設置や決済システムの利用料などの負担を強いられる。通常、キャッシュレス決済の利用料は店の売上規模などに応じて決まり、中小店舗の導入を阻んでいた。たとえば、クレジットカードの決済手数料率は取引額の3%台。代金1万円なら300円超の売上減になる。

 これを打ち破ったのが、QRコードをスマホのカメラ機能で読み取るスマホ決済事業者と呼ばれる新興勢力だった。とくに18年10月に市場参入したソフトバンクグループのPayPayは、グループの携帯電話販売店網と連携。ユーザー、売り手の別なく取り込みを図った。

 売り手への“決め手”は、加盟店になっても負担は一切なし。PayPayの「のぼり旗」が、あちこちの店頭に立っていった。

 現在、PayPayの加盟店申込数は328万カ所、ユーザーは4,000万人を超える。(一社)キャッシュレス推進協議会によると、20年のQRコード決済の取扱高は19年比4倍となる4兆2,000億円。一方、PayPayは20年度の決済取扱高を3兆2,000億円と公表。事実上、QRコード決済=PayPayの状態になっている。

 そのPayPayが決済システムを使う中小加盟店に対価の支払いを求めている。料率は取引額の1.6%または1.98%。月額1,980円(税別)を払い、PayPayのサイト上で店舗紹介やクーポン発行などができるプランを選択すると1.6%。加盟だけなら1.98%。既存の加盟店は9月19日までに退会を含めた三択を迫られている。

【南里 秀之】

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