消費者庁、2022年度にヘルスケア・食品分野の新規事業を予定
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トクホ制度見直しへ実態把握調査など
消費者庁が2022年度政府予算概算要求に盛り込んだヘルスケア・食品分野の新規事業の内容が1日、各担当課への取材でわかった。
健康食品分野では、特定保健用食品(トクホ)制度の全般的な見直しに向けて、22年度中にトクホに関する実態把握調査などを予定している。
これは、「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会」が今年3月に取りまとめた検討結果を受けた対応。同検討会は「今後必要な情報を収集しつつ、トクホ制度全般について検討されることを期待する」と提言した。
制度の見直を検討する際に必要となる基礎データを整備するため、「トクホに関する実態把握調査や情報収集、科学的知見の整理などを予定」(保健表示室)。本格的な検討は23年度からスタートするとみられている。
広告の取り締まりを迅速化
健康食品や化粧品などの広告・表示の取り締まりでは、「ヘルスケア性能・効果検証体制」の強化を目指す。22年度に、専門家による組織を整備する方針を固めている。
行き過ぎた広告・表示について、消費者庁は景品表示法の「不実証広告規制」に基づき、表示の裏づけとなる資料の提出を要請できる。事業者が15日以内に資料を提出しない場合、または提出された資料が根拠と認められない場合には、違法と判断される。
現行制度では、その都度、提出された資料の精査を専門家に依頼している(セカンドオピニオン事業)。しかし、インターネット広告の急速な普及などを背景に、悪質な広告・表示は増加傾向にあり、取り締まりにもスピード感が求められるようになった。このため、「(予算案が通れば)恒常的に対応できる体制を整えて、迅速に対応できるようにする」(表示対策課)。
また、ヘルスケア分野の広告・表示の監視強化に向けて、22年度に担当官(2人)の増員を要求している。背景には、コロナ禍によってマスクや除菌グッズ、健康食品などの行き過ぎた広告・表示が目立つようになったことがある。
そうした状況を踏まえ、ヘルスケア分野の専門的知識をもつ担当官の配置が必要と判断。要求が通れば、より迅速な対応を目指す考えだ。
デジタルツール活用で食品情報を提供
食品分野の新規事業としては、デジタルツールを活用し、商品情報を消費者へ提供するモデル事業の構築を予定している。
食品表示制度が改正されるたびに容器包装に記載する表示項目が増え、消費者からは「文字が細かくて読みにくい」といった不満も。消費者の商品選択に役立つ情報の提供を目的に、消費者庁では容器包装にバーコードを貼付し、スマホで詳細情報を読めるようにする実証実験を行ってきた。
その過程で「さまざまな課題が浮かび上がった」(食品表示企画課)という。22年度中に官民連携で課題の解決へ向けた検討を行い、実用化モデルの構築を目指すとしている。
【木村 祐作】
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