『脊振の自然に魅せられて』福岡近郊の山歩き、展望が最高の鐘撞山(前)
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今年8月は長雨が続いた。それと母校の西南学院大学で2回目のワクチン接種の仕事を8日間手伝ったので、山行きもままならなかった。
ワンダーフォーゲルの先輩で「脊振の自然を愛する会」副代表Tに飯盛山(福岡市西区)の情報を尋ねると、8月は雨が多かったからキノコのタマゴタケが出ているとの返事だった。
「27日(金)は空いています」と連絡すると、同行 OKの返事だった。27日の天気は長雨も収まり、晴れの予報であった。「いつもの所で8時半に待っている」とのことだった。いつもの所とは自転車で通う飯盛神社前と思ってTに確認すると、脊振山系登山へ車で行く時に迎えに行く場所であった。確認してよかった。
先輩Tは早良区原団地の自宅から西区にある飯盛山を囲む山を毎日歩いている。その山は福岡市街地を展望できる叶岳までの縦走コースや、福岡市今宿野外センターを囲む低山である。
もともと福岡の「ピナクル山の会」の会長で、冬山もこなす山のスペシャリストである。高齢になり冬山登山をあきらめ、低山の飯盛山周辺や脊振山系を年間300日も歩く強靭な体力の持ち主で、今年喜寿を迎えている。私と同じ年齢でひと月違いであるが、大学は1年違いの先輩になる。
約束の時間に迎えに行き、車道を上り詰め、飯盛神社上宮の大鳥居前に車を止めた。大鳥居をくぐり飯盛神社上宮に参拝、家族の健康と山歩きの無事を祈願した。その後、タマゴタケの観賞へ向かった。
自然観察指導員が主宰する「キノコの会」に入会していたが、観察会でタマゴタケに遭遇したことはなかった。ぜひ遭いたいものだと心をトキメキさせながら林道を登って行く。林道の左右には草花が秋の装いを始めていた。
歩くこと10分ほどで目的地に着く。先輩Tがタマゴタケを見つけようと目を凝らす。私に見せてやりたいとの心配りからである。数分間タマゴタケを見つけようとするが、残念ながらこの日はタマゴタケに遭遇しなかった。興味のないキノコが数種類生えていただけだった。
「せっかくだから自然に生えている桔梗を見に行こう」と車で移動する。福岡市今宿社外センター近くの叶嶽登山口の駐車場に車を止める。登山口を背にして鐘撞山(かねつきやま)へ向かう。田んぼに囲まれた静かな集落を抜けると、10分で鐘撞山の登山口に着いた。平日でもあり、登山者は私とT先輩だけであった。登山口には子どもたちがつくった赤と黄のペンキを塗った標識が立っていた。
標識の裏には子どもたちの名前があり、呼び名で4、5名の男女の名が赤や黄色で描かれていた。薄暗い杉林を進むと、山道の曲がり角にも子どもたちが立てた道標が何本か立っていた。「おじさん頑張って」という子どもたちの声が聞こえるようであった。
(つづく)
2021年9月5日
脊振の自然を愛する会
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