世界最長寿国の日本:いつまでも輝く生き方とは
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、2021年9月17日付の記事を紹介する。日本ではこの9月15日の時点で、100歳以上の人口が前年同期の8%増となる8万6,510人になりました。51年連続で過去最多を更新したことになります。そのうち、男性は1万人を超えましたが、女性が9割と圧倒的な長寿です。20年前と比べ、100歳以上の人口は6倍に増えたことになります。
平均寿命を見ても、日本は諸外国を寄せ付けない強さを誇っているようです。国内最高齢の福岡県在住の女性は118歳で、ギネスから世界最高齢の称号を授かっています。しかも、寝たきりではなく、入所する老人ホームで好物のチョコレートを食べたり、スカッとする炭酸飲料を飲んだりと元気に過ごしているとのこと。頼もしい限りです。
その点、思い出されるのが、105歳まで現役の医師として活発に社会貢献を続けておられた聖路加国際病院の日野原重明先生です。何しろ、「95歳は若者だ」というのが口癖で、病院での診察に限らず、海外を含めて各地に「新老人の会」を組織し、「輝く生き方」を提唱、実践されていました。筆者はご縁があり、日野原先生から直接、その健康長寿の秘訣をうかがう機会があり、とてもラッキーだったと思います。
今でも、その教えを反芻しながら、自らの健康維持に努めている次第です。では、その秘訣とはどんなものでしょうか。「いつまでも輝く生き方」を実践するうえで大切なことは、先ずは「健康」であること。そのためにも、日々、「目標」をもって社会参加などを通じて活動すること。
そして、「健康」であるためには日常生活の上でも、よく自己管理し、運動をすること。また、食べ過ぎないように、食事にも気を付けること。いずれも「いうは易く行うは難し」ですが、意識的に実践を心がけています。
より詳しく説明すれば、最も大切なことは「よく噛む」ことです。食べ物を飲み込む前には「少なくとも30回は噛むこと」が大事だと教えられました。そうすれば、歯から脳へと刺激が伝わり、脳から全身に細胞の活性化や血流を促す波動が伝わるそうです。加えて、常に腹八分目を心がけること。「肥満に長寿なし」といいます。
要は、食事の量に関しては、「少し足らないかな」と思うくらいがちょうど良いそうです。この「よく噛む」という教えを筆者は日頃接する情報にも当てはめています。すなわち、テレビ、新聞、ネット上で見聞きするニュースや解説もよく噛む必要があると思うからです。何しろ、世の中は「フェークニュース」で満ち溢れています。注意せねば無意識のうちにフェークニュースに飲み込まれてしまうでしょう。
次に大切なことは、「運動」です。とはいえ、必ずしもスポーツジムに通う必要はありません。日野原先生曰く、「階段は一段飛び。早歩きを心がけ、エスカレーターや動く歩道は使わない」。いうまでもなく、普段の生活のなかで、いくらでも運動ができるチャンスはあるということです。しかも、無理に身体を動かす必要はなく、ちょっとした工夫で運動量を加減できるというわけでしょう。
さらに付け加えれば、「いつも笑顔」を絶やさないこと。我々の顔には笑顔をつくるために表情筋が36本も備わっているそうです。ただ、意識して使わなければ、表情筋は固まってしまい、なんとなく不機嫌な表情が固定化してしまいます。これでは出会った相手との話も弾みません。鏡を見ながら、自分で表情筋を動かす努力が欠かせないでしょう。と同時に、全身の柔軟性を保つためには、首の柔らかさを保つことが重要とのこと。起床時や就寝前には首をぐるぐる回すことで身体全体の若さを維持できるはずです。
また、普段から付き合う相手は年齢、職業とも多様性を重視することです。同じような年齢層や職種の人とばかり付き合っていると、どうしても発想や行動が固定化してしまい、身体も固まってしまうようです。「新老人の会」でも会員は70歳や80歳を超えた高齢者だけではなく、50代、60代でもジュニア会員として歓迎されているようです。経済、文化、歴史の勉強、コンサート、コーラス、フラダンス、ソフトボールなど、活発な活動が行われており、多彩な経歴、経験、趣味を持つ人々との出会いが、新たな輝きをもたらすきっかけになっているに違いありません。
最後に、筆者が最も感銘を受けた教えは「未来の自分との対話」です。日野原先生の手帳には10年先まで予定が書きこまれていました。先生曰く「こうして未来の自分へメッセージを送っているのです。そうすると未来の自分に合わせて、現在の自分の取るべき行動が変化します。未来の自分を喜ばせるような行動を今の自分が選び取る動機にもなるでしょう」。
まさに、過去、現在、未来の自分との絶え間ない対話の積み重ねが輝く生き方の羅針盤になるというわけです。
ぜひ、皆さんも自分に合った健康、運動、食事、そして仲間との語らいを通じて「輝く瞬間」を増やす工夫を試みては如何でしょうか。気が付けば、100歳を軽く超えていた。そんな輝く人生の扉を開けてみませんか?欧米では「永遠の命」を手に入れようと、人体のサイボーグ化や記憶のデータベース化が新たなサービスとして台頭し始めています。しかし、限りあるからこそ、一瞬一瞬に感謝し、大切に生きるという原動力になるはずです。世界に冠たる長寿大国日本らしい、「輝く生き方」を追求しようではありませんか?
著者:浜田和幸
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