2024年12月23日( 月 )

新聞業界に激震、輪転機最大手・東京機械製作所が乗っ取られる?!~買収防衛策でアジア開発キャピタルに対抗(前)

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 輪転機の名門が買い占めのターゲットになった。新聞輪転機メーカー最大手の(株)東京機械製作所(以下、東京機械、東証一部)である。買収を仕掛けたのは中国・香港系金融会社が出資する投資会社、アジア開発キャピタル(株)(以下、ADC、東証二部)。新聞・通信40社が懸念を表明し、政府が情報収集に乗り出す騒ぎとなった。

新聞・通信40社、東京機械株買い占めに懸念を表明

 新聞・通信40社は9月10日、東京機械株の買い占めに「強い危機感」を表明する書簡を東京機械に送り、同社は即日開示した。書簡には各社の経営トップが名を連ねる。

 全国紙では、読売新聞グループ本社・山口寿一代表取締役社長、朝日新聞社・中村史郎代表取締役社長、産業経済新聞社・飯塚浩彦代表取締役社長、日本経済新聞社・長谷部剛代表取締役社長、毎日新聞社・丸山昌宏代表取締役社長。このほか、通信社の(一社)共同通信社・水谷亨社長、時事通信社・境克彦代表取締役社長、地方新聞の社長などの連名による異例の懸念表明である。書簡の主な内容は以下の通り。

 〈私たち新聞各社は、貴社が「強い危機感」を持たざるを得ない状況が続き、貴社の日常の業務運営や貴社の先行きに支障が生じることに懸念を抱いております。

(略)

 国内の主要な新聞社の過半に当たる約40社は貴社製の輪転機を使用しています。輪転機のセット数(台数)で見ても、現在国内で稼働中の約430セットの大型新聞輪転機のうち、40%以上が貴社製です。

 新聞は日々発行することで社会的使命をはたす媒体であり、時に号外等の臨時の印刷もあります。このため、新聞輪転機は365日いついかなる時も正常に稼働していることが必要となります。一方で複雑な仕組みの新聞輪転機には、いつ発生するかわからない機械トラブルが付きものです。

(略)

 新聞発行を続けながら、重度の故障や大規模な整備にも対応することができたのは、長年の実績に裏付けられた新聞社と輪転機メーカーの強い信頼関係があったからです。

 貴社の日常の業務運営に乱れが生じるようなことがあれば、新聞各社の日々の印刷・生産体制にも支障が生じ、それは読者へのニュースの伝達に影響が及びます。

(略)

 貴社の輪転機の開発・製造体制が変えられてしまうなどすれば、新聞各社の印刷・生産体制は致命的な打撃を受けることになります〉。

    新聞社の生命線である輪転機のメーカーを中国・香港系の投資会社が乗っ取ろうとしていることに強い危機感を滲ませた。

(つづく)

【森村 和男】

(中)

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