2024年12月23日( 月 )

新聞業界に激震、輪転機最大手・東京機械製作所が乗っ取られる?!~買収防衛策でアジア開発キャピタルに対抗(中)

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 輪転機の名門が買い占めのターゲットになった。新聞輪転機メーカー最大手の(株)東京機械製作所(以下、東京機械、東証一部)である。買収を仕掛けたのは中国・香港系金融会社が出資する投資会社、アジア開発キャピタル(株)(以下、ADC、東証二部)。新聞・通信40社が懸念を表明し、政府が情報収集に乗り出す騒ぎとなった。

国産初の輪転機を開発した名門

 東京機械は1874年創業の国営工場が源流。1888年に民間企業に。1906年に国産初の輪転機を開発し、1911年に現社名となった。

 東証一部上場で、新聞輪転機では国内最大手。顧客には国内主要新聞社がずらりと並ぶ。だが、新聞発行部数の減少により、新聞各社の経営環境が厳しさを増すにつれて、業績は先細りしている。

 2021年3月期の連結決算は、売上高が前期比7.6%減の108億9,700万円に落ち込んだ。最終損益は3億円の黒字(前期は9億9,800万円の赤字)に転換した。グループ従業員は403人。同社の新聞輪転機は全国で約180台(全体の40%以上)が稼働している。

 収益力は落ちているが、これまで稼いできた蓄えが積み上がっている。21年6月末時点の純資産は83億6,100万円、経営の健全性を示す自己子資本比率は46.7%と高水準だ。

東京機械製作所の業績推移

ADC傘下のファンドが株式の4割買い占め

新聞 イメージ 東京機械株の買い占めが表面化したのは7月20日。東証二部上場で投資会社のADC(旧・日本橋倉庫)の子会社、アジアインベストメントファンド(株)(以下、アジア社、東京都中央区)が東京機械株の8.08%を新規保有し、筆頭株主に躍り出たことが判明した。買い増しが続き、7月末には保有割合は32.72%に達した。

 アジア社は保有目的を当初「純投資」としていたが、その後「支配権の取得」に変更した。大量保有報告書によると、8月16日時点で保有割合は38.64%、9月6日時点で39.94%まで高めた。持ち株比率は3分の1を超え、株主総会で合併などの特別議案を単独で拒否できる。

 ADCは、60年近く前の前身の倉庫事業会社時代に東証二部に上場し、その後、幾度か業態を変えてきた。2015年に現社名に変更。香港の金融大手などの出資により、事業の多角化を進めた。しかし、20年にマレーシアのアンセム・ウォン氏が社長に就任したことを機に経営方針が変わり、現在は投資事業に注力している。

会員制情報誌『FACTA』が買収の舞台裏をスクープ

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 8月20日発行の月刊会員制情報誌『FACTA』(21年9月号)が「『東京機械株』買い占めの怪」と報じた。

 〈日経や読売の幹部が『どうなってるんだ!』と騒いでいる。買い占め側の素性や真意を探ろうと、日経や読売は自社の記者らに情報収集を急がせている〉と伝えた。新聞界を仰天させた買収劇が広く知られるようになった。

 一体、誰が何の目的で絵を描いているのか。〈見逃せないのは在日中国人ネットワークにまとわりつく後ろ暗い人脈、陰に1人のキーマンが存在する。かつて北京大学傘下の企業グループで幹部だった許振東氏がその人だ〉と舞台裏に切り込んだ。

 『FACTA』は21年5月号で「『ボロ株』アジア開発キャピタルに中国『怪人脈』」と題して、許氏について詳細に報じた。

 ADCは9月16日、「あたかも当社らが海外の何者かの影響下にあり支配を受けて投資活動を行った旨の事実を摘示したものといえますが、事実無根である」として、謝罪記事の掲載を請求。『FACTA』は抗議文全文をネットに掲載した。

 『FACTA』は9月30日、号外速報として「東京機械株買い占め劇に新事実/アジア開発『新株』が闇に消えた謎/あの中国人投資家が利益か」と報じた。全面対決の様相だ。

(つづく)

【森村 和男】

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