コロナ禍でも活気みなぎる「鉄筋工業界」の現況(3)
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「鉄筋工事は新しい建築方法が出ない限り未来にまで残り、なくならない」と語る(株)宮村鉄筋工業の宮村博良社長に、鉄筋工業界を取り巻く現状と将来展望などについて話を聞いた。
鉄筋工職人の現況
――福岡市で進められている天神ビッグバンの建設現場でも、職人が不足するのでしょうか。
宮村博良氏(以下、宮村) これから本格的に労務が動き始めたときには、鉄筋工で150人ほど、型枠で200〜300人が少なくとも必要になるため、とても厳しくなってくると思います。
そもそも全国の鉄筋工の数は約4万7,000人で、その1割の約4,700人が九州にいます。この4,700人の2割の約940人は外国人人材です。福岡では4,700人の3分の1にあたる約1,600人が働いていますが、今後も建築現場は増えて行くため、人手不足の状態は解消されません。
そのうえ、建設業就業者の高齢化が進んでいるため、働き盛りの人材が少なくなると若い世代への技術継承も困難となります。この視点からも、職人の人材不足は大きな問題です。
建設業界が直面する「2025年問題」
――建設業界が直面する「2025年問題」が浮上しています。国土交通省の推計によると、少子高齢化による人材不足が加速し、25年度の「職人」と言われる技能労働者数が約286万人となる一方で、必要な技能労働者数は333〜379万人と試算され、最大で90万人以上が不足することになります。
宮村 常に求人募集を行っていますが、簡単には集まりません。建設業界や鉄筋工業界そのものが旧態依然の雇用条件であり、若い人が集まらないのは当然です。仮に若い人材が入職しても、短期間で離職してしまうような雇用条件では意味がありません。
たとえば、労働時間が長く残業も常態化し、家族や友人と休日が合わず交流できない。上司や先輩などから理不尽な指示・命令がある。求人条件と違っていた。キャリアアップができない。賃金が低く収入が安定せず、福利厚生も完備していないために家族を養えない。そうした就業環境・条件では、将来を担う良い人材は集まりません。
――次世代を引き継ぐ若い後継者を募集するためには、何が必要ですか?
宮村 先ほど述べた問題を改善することです。建設業界や鉄筋工業界の事情という都合の良い言い訳をし続けるのではなく、雇用する側が改善し、一新しなければならないことについて、当社ではすでに実行しています。とくに、業界で最も遅れていた福利厚生の完全導入をいち早く行いました。
賃金や公休日についても、家族を抱える社員やこれから所帯をもちたい社員など、当社で働くスタッフ全員が安心して生活を送れるように改善しています。
社員には外国人もいますが、日本人と同等の雇用条件と居住環境を準備しています。彼らは技能実習生と特定技能の在留資格で入職し、日本人の社員と協調して仕事に熱心に取り組み、明るく元気に働いているので安心しています。
(つづく)
【聞き手・文:岡本 公一】
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