問われる長崎県宅建協会の『公』(2)
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決定機関である理事会を通さず、ベテラン職員の再雇用契約をめぐる労使問題を起こしていた公益社団法人 長崎県宅地建物取引業協会(以下、長崎県宅建協会)。同協会の運営について、「公益社団法人としての理念が感じられない」と糾弾する会員から、重大な問題に発展する可能性をはらんだ1つの事例が紹介された。ある不動産業者の入会をめぐるトラブルである。
理由なき入会拒絶
諫早市のある不動産業者Bが長崎県宅建協会に入会を申し出た。通常、新規入会希望の審査は、所管の支部が行うが、Bの審査については諫早支部ではなく同協会の総務・財務委員会が代わって審査を行い、入会を可とした。しかし、諫早支部から再度、審査のやり直しが求められ、理事会の場で審議されることとなる。ある理事からは『入会を認めない理由』について質問がなされたが具体的に明らかにされないまま多数決となり、入会への反対5名、賛成4名、棄権7名(欠席2名)で、Bの入会は不可とされた。
当然ながら、Bからも同協会に対して、入会が認められない理由についての説明が求められる。しかし、同協会は、「将来、紛争のおそれがあるため」として、その根拠を具体的に示されていない。紛争のおそれの根拠が何なのかは不明のまま。この事実を知った会員からは、「Bは県の審査を経て、認可を受けている。『紛争のおそれ』とは、いわれのない誹謗中傷と捉えられてもおかしくはない」「棄権した理事が7名もいたのは、あまりにも情報が不足して判断ができなかったからだ」といった声があがっている。
同協会を挟まず、単独で宅地建物取引業を行う場合、法務局に1,000万円の供託金を預けなければならないが、同協会の会員となれば供託金は60万円の負担で済む。会員の場合、同協会や全国宅地建物取引業保証協会の入会金や年会費などもかかるが、必要な金額は雲泥の差だ。「同業者の不当な締め出しは、独占禁止法に抵触するおそれもある。単に好き嫌いで物事を判断していては大変な事になる」と、ある会員は危惧する。長崎県宅建協会の対応を不服とするBは、法に訴えることも辞さない覚悟があるという。
(つづく)
【山下 康太】▼関連リンク
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