「私怨・私恨」対「私憤」
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目先のことに対する「恨み」の感性は鋭敏
「会社の会議で恥をかかされた」とA氏は上司を恨んだ。上司は「もう少し知恵を絞って、方針を練りあげてくれ」と、至って普通の指示をしただけだ。ところが、A氏は「俺を馬鹿にした。みんなの前で恥をかかせた」と、この上司に恨みを抱き、「とてもではないが、やっていられない」と無断欠勤を始めた。その結果、自主退職の道を選んだ。
オイオイ、もう少し本質的なところで怒りを感じることができないのか!Aさんよ。20代の若いカップルに亀裂が生じた。金銭トラブルである。
このカップルは、男性が「ヒモ」のような存在だった。ある時、女性が「もうお金をやらない」と断ったところ、それに怒った男性が女性を数発殴ったのだ。殴られた女性は「殺される」と大きな声をあげて警察に駆け込み、その結果、男性は逮捕され、留置所に拘留された。当然、男性にこの女性への接見禁止措置が講じられ、和解交渉が始まった。すると女性が「彼がこんな風に拘束されるとは考えもしなかった」と泣いた。これを耳にした男性は高飛車な態度に転じた。さすがに女性は、この男性の本質を見抜き、黙って遠くにある実家へと逃げ帰った。最後の最後に賢明な選択をした。
最近の若い連中は身近で生じる出来事には鋭敏である。すぐに私怨・私恨を持ち、粘着性のある攻撃をしかける習性がある。「もう少し注目すべき事柄に対しての関心をもて!」と警告を発したい。コロナ禍、あなたの家族は自力でしのぐしかない
大半の市民は「公的に無視される、放棄されること」に関して無神経になりすぎているのではないか!コロナ禍のなか、日本政府は万策尽きた。「病院に入院ベッドが皆無になってしまった」(実際は空き入院ベッドは数多くあった)。そして政府は、国民をコロナから守るという使命を放棄するかのような対応をとった。「もう空きベッドがありません。コロナ陽性の方々は外出しないでください。自宅で防衛してくれることを望みます」。
「国は我々、家族を見捨てるのか!家のなかで全員、コロナにかかって『野垂れ死ね』と命ずるのか!」という怒り、いや憤りの声が全国、津々浦々で響きわたっても不思議ではない状況だったのだが、実際は、ただ黙々と我慢して自宅にひっそりと「潜んでいた」だけだった。家長は「国は我々、家族の生存権を奪うのか」と大きな声を発すべきなのに、そうした行動を起こしたのは、ごく少数だった。
誠に残念なり。家族の存亡が危うくなっているのに憤りをおぼえないとは生物以下になり下がってしまったのではないか!生物は本能的に生命の存続に躍起になるものである。「自分たちを守る」本能が萎えてしまったら、日本民族には滅亡への道しか残されていない。
そして今回の総選挙の結果である。野党は自民党の圧勝を許した。自民党の中核に座る大半は2世どころか3世ないし4世の「七光り連中」ばかりで能力はなく、「国民のために」という使命感の欠片もない。あるのは「家業」という意識しかない。目先の「恥かき」には異常な反応を示すのに政治家の「家業」に対して「不条理」という私憤を抱かないとは能天気であるというしかなく、呆れてものも言えない。
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