2024年12月22日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~京都は第二の深圳になり得るか(前)

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 歴史や文化で世界的な知名度を持つ古都・京都。かねてから観光業に依存してきたこの地が今、「イノベーション」という新たな道を歩んでいる。

 11月中旬、コロナ禍で革新の道を歩んでいる姿を取材すべく、本紙取材班は京都を訪れた。 緊急事態宣言はすでに解除され、紅葉の時期を迎えてはいたが、街中の人出はそれほど多くはなかった。

 古寺の三千院の近く、以前に食事を味わった大きなレストランは解体され、漬物店も軒並み閉店していた。清水寺近くで調味料の七味を売っている創業百年の老舗の店長によると、今の客足はコロナ前の三分の一程度だという。

 2年近く続いているコロナの影響で、国内有数の観光都市が大打撃を蒙っている。

 ところが今回訪れたなかで、産学研一体化、というこれまでにないイノベーションを目にしたのである。

 京都はそう、歴史と伝統のある都市であるほか、工業都市でもある。京セラ、島津製作所、村田製作所、オムロン、任天堂、日本電産など、世界に名の知れたデジタルや素材産業が本社を構えているほか、ノーベル賞受賞者を輩出している京都大学もある。

 これら企業の開発力や人材を活用して京都を立ち直らせよう、という道をかねてから模索しているのが、京都大学の平尾一之名誉教授である。

 市内にある成長産業創造センターで平尾教授に会った。ここのセンター長を務めているほか、京都市桂イノベーションセンターのセンター長も務めている。

 市の中心部にある成長産業創造センターには、世界の大手500社に数えられる京セラをはじめ、技術系企業数十社が居を構えている。平尾教授が案内してくれた数社のなかに、「New-Tech」というレーザーや新エネルギーの開発に従事している会社があった。社長・元木寅雄氏は中国出身で、清華大学を卒業後に中国科学院で勤め、92年に来日、東京大学で工学博士を取得しており、学問畑の経営者である。

 この会社の研究室には、イオンビームを試料に照射して内面や深さ方向を分析する飛行時間型土次イオン質量分析計(TOF-STIMS)という機器があり、液晶や半導体、LEDなどの表面の積層膜を精密に測定することができる。
 世界でも先端を行くこの機器は、2人の工学博士に利用されている。

 これだけ先端的な機器を扱える企業が存在することを知り、大変な驚きを感じた。

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 その後、京都大学桂キャンパスを訪れた。工学部のある比較的新しいキャンパスである。

 ここは講義の場であるほか、京都市の産学研一体化の拠点でもあり、触媒・電池元素研究センター、先端光加工研究センター、先端電気機械工学研究センターがあって、それぞれが村田製作所や京セラ、日本電産といった大企業にバックで支えられている。

 これら各企業の資金や技術の提供により、大学側は想像力を遺憾なく発揮し、斬新な研究アイデアを打ち出している。これらのアイデアがたちまち企業で急を要する技術に転換し、さらにはこうした提携体制により企業に大量の優秀な若手人材が送り込まれ、産学研という好循環を生み出している。

 さらに、先端技術のさらなる革新や産業の振興に向けて、京都府や京都市、京都大学、地元企業などにより、(公財)京都高度技術研究所が設立されている。

 事務長・小野寺由美子氏、地域産業活性本部の菴田寿男氏、端裕樹氏がセミナーを開催し、現在サポートしている各社の技術開発状況について説明してくれた。

 これを聴いて、どの技術も極めて先端的なものであると感じた。それらの商品化や実用化が果たされたら、間違いなく世界的な技術革新に大きく貢献することになるだろう。

(つづく)


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(後)

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