2024年11月18日( 月 )

新しい決済システム「スパイダーチェーン」が世界を変える(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(同)K&Nマネジメント CEO
中村 龍道 氏
 

オフラインでの決済が可能

中村 龍道 氏
中村 龍道 氏

    ──画期的なデジタル決済システムを開発されたそうですね。どういったものなのでしょうか。

 中村龍道氏(以下、中村) 今後、仮想通貨などを中心とした「デジタル金融」の世界が進んでいくのは間違いありません。中国しかりアメリカしかり、デジタル金融へのシフトは世界的な潮流だといえます。しかし、デジタル化が進むと便利な反面、セキュリティーに関する問題が浮上してきます。年々セキュリティーが厳しくなっていくなか、それを破ろうとするハッカー集団が跳梁跋扈しており、「デジタル合戦」の様相を呈しているのが近年の状況です。

 今回我々が開発した「スパイダーチェーン」は従来のブロックチェーンに取って代わり得る次世代の技術です。スパイダーチェーンについて説明する前にブロックチェーンについてお話ししましょう。

 ブロックチェーンの技術自体は20年以上前から存在しています。仕組みを簡単に言いますと、お札の名前を所有者が変わるたびに更新していくといえばイメージしやすいかもしれません。たとえば最初の所有者が山田さん、それが佐藤さんに渡る、その次に高橋さんへと持ち主が変わるたびに名前が書き替えられ、最終的に山田さんまで遡って確認をするわけです。ある1枚の1万円札の持ち主が入れ替わり、最初の佐藤さんから仮に10万人目が渡辺さんだとすると、ブロックチェーン技術の場合、10万人目の渡辺さんから最初の佐藤さんまで、すべての持ち主の情報を確認していくわけで、その分セキュリティーは複雑になるし、確認に時間がかかる、電気代もかかりますし、何よりネットがつながっていない環境だと機能しません。

 しかし、スパイダーチェーンの場合、佐藤さんから渡辺さんまで、すべての持ち主を確認するのではなく、最後の持ち主である渡辺さんと1つ前の所有者である吉田さんとの間での確認だけで済むのです。従って確認に時間がかかることもありませんし、何よりもオフラインで決済できるのが最大の特徴です。

 なぜオフラインでの決済が可能かと言いますと、ネット経由ではなくスマートフォンやタブレット内に所有者が○○円持っているという情報が入っており、それをブルートゥース経由で次の所有者へとデータを転送すればいいだけの話だからです。

 ブロックチェーンを最初につくったとされている人物は「いつかは、このブロックチェーンにとって代わる新しい技術が出てきます。ブロックチェーンは、その技術がでてくるまでのつなぎの技術です」と言ったそうです。その技術というのがスパイダーチェーンなのかもしれません。スパイダーチェーン技術の詳細については今後発表する予定ですが、それを聞いた技術者たちは「目から鱗が落ちる」思いをすることでしょう。

 実は東ヨーロッパのある国から「スパイダーチェーンに興味があるのでテストしたい」という話がすでにあり鋭意テストしている段階です。

決済のスタイルが一変

デジタル通貨 イメージ    ──スパイダーチェーン技術が浸透すると、それまでの生活スタイルが一変しますね。

 中村 はい。とにかく決済のスタイルが一変するといって差し支えないでしょう。現在「PayPay」の決済手数料は最低1.6%〜、クレジットカードだと5%前後かかる場合もあります。しかし、スパイダーチェーン技術を採用すれば、手数料1%以下、0.5%や0.1%でもいいわけです。

 通常のQRコード決済の場合、リーダーなどの端末を導入するためにそれなりの設備投資費用がかかります。しかし、スパイダーチェーン技術の場合、シンプルな端末ですみますので、驚くほど安い金額で端末を使うことができます。極端な話、店側にネット環境がなかったとしても、レジの前などにバーコードのポスターなどを貼るだけで導入が可能なのです。このように導入が比較的容易なので、爆発的に導入する店舗が増えることが予想されます。そうなれば手数料がたとえ0.1%でも10人が使えば1%になるわけで十分採算が合うのです。

 私が代表を務めるZANN CORPORATIONグループのうちの1社である志聘環保科技(深圳)有限公司は深圳証券取引所に株式店頭上場しています。そこでスパイダーチェーン技術を武器に中国市場を開拓することも考えています。同じアジア圏ということもありますし、一挙にスパイダーチェーン技術が世界を席巻するようになると思います。なぜかと言いますと、中国でなら端末を500円ぐらいでつくることが可能だからです。その端末を世界中に配り、その決済手数料が0.1%ということになれば、全世界の人々が使い始めるであろうことは容易に想像ができます。しかも、オフライン決済もできるのです。

 ──それは決済通貨というとらえ方でいいのでしょうか。

 中村 名称に関しては「ポイント」にするか、新たに言葉をつくるか考えている最中です。ここでは仮に「ポイント」と呼ぶことにしましょう。たとえば1万円分のポイントをスマートフォンのアプリやカードにチャージして決済するかたちになります。

 ──画期的なシステムですね。スパイダーチェーン技術によって世界が変わるのでは?

 中村 現在、世界中、とくに日本においては格差が広がっており、その流れは今後も変わらないでしょう。我々は世界展開している企業ですので、世界を救わなければなりませんが、当然日本のことも救わなければなりません。全国民を救うというわけにはいかないかもしれませんが、スパイダーチェーン技術を用いた決済によって皆さまの生活の安定に寄与したいと思っています。

(つづく)

【新貝 竜也】


<プロフィール>
中村 龍道
(なかむら りゅうどう)
 1969年6月生まれ、鹿児島県出身。95年、大手土木・建築資材販売・レンタル企業で経験を積んだ後、起業。地元鹿児島を拠点に飲む温泉水の販売、温泉水を使用した基礎化粧品の販売を展開し、成功をおさめる。その後、2004年に中国に渡り、当時としては珍しい日本人向けのナイトクラブを4店舗運営。現地で評判になると同時に、その経営手腕が高く評価され、06年、趙紫陽元中国総理の実子、趙衛國氏らの協力を得てマカオ特別行政区で事業を開始する。
 以降、マカオを中心に北京、大連などで精力的に事業を展開。地元鹿児島産の製品やサービスの中国市場での定番化にも尽力した。10年代に入ると米国・ラスベガス市場に参入。ZANN CORPORATIONを買収し、カジノ総合事業を中心としたリゾートプロジェクトやインドネシア、香港、マカオ、中国、台湾などの企業と共同で多岐にわたる事業をスタート。香港、シンガポールでクルーズ事業ZANN CASINOクルーズをグランドオープンさせると、業種の垣根を越え、アパレル、不動産開発などで数々の実績を残す。
 現在もマカオ、アジアを中心に、地域振興による世界平和と繁栄を目的として、清濁併せ呑む覚悟をもって活動している。
 ZANN CORPORATION Chairman、中国陝西省韓城人民政府顧問。

(後)

関連記事