2024年07月03日( 水 )

【どうなる久留米市?!】原口新五・新市長 水害対策と「しがらみとの決別」訴え(後)

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第21代久留米市長 原口 新五 氏

 1月16日に告示され、23日に投開票が行われた久留米市長選挙。人口30万、県第三の都市ながら地盤沈下が進む久留米市。今後を決める重要な選挙にもかかわらず、投票率は34.58%と盛り上がりに欠けたものとなった。無所属新人4人が立った激戦を制したのは、元久留米市議の原口新五氏(61)。保守分裂で事実上の一騎打ちとなった元福岡県議会副議長・十中大雅氏(68)を約2,500票という僅差で振り切り、第21代久留米市長の座に就いた。兄の原口剣生県議(自民党福岡県連会長)のインタビューと合わせて、新しい久留米市政について聞いた。

県とのパイプを太く、強く

第21代久留米市長 原口 新五 氏
第21代久留米市長 原口 新五 氏

    ──市長選では最優先課題として水害対策を挙げていました。

 原口 それが久留米市の抱える最大の課題だと思います。具体的には、国・県・市の河川改修工事と浚渫(しゅんせつ)、もう1つは貯留施設になると思います。貯留施設はたとえばため池をつくるのか、あるいはグラウンドやスポーツ施設の下に貯留池をつくるのか。タイムラグをつくりながら90万トン~100万トンに上る水を溜める場所をどこにつくるのか、こういったことがポイントになります。

 15年ほど前のことですが、久留米市企業局の前に県のテニスコートとサブグラウンドがありまして、テニスコートを潰すというので掘り下げてみたんです。そうしたら企業局が浸水しなくなったということがありました。貯留施設のアイデアはそれからずっと考えていました。直近4、5年で大雨が降っていますので、ああいうかたちの水害対策をやるべきなのはわかっていました。

 ──ほかの課題は?

 原口 1つは保健所の問題です。保健所のマンパワーが足りないというのもありますが、最も足りないのはスペース(施設)なのです。研究部門からすべてやれるようにしたいので、これを正式に考えなければならない。実は17年前からの課題で、立派なものをつくったら48億円くらいかかるという積算は終わっているんですが、いささか高すぎるので簡素化したものを場所も含めて考えていきたい。調査を保健所に投げているところです。

 ──雇用に結びつく企業誘致を掲げていた。

 原口 企業誘致は大きな企業も必要ですが、中小の雇用に直接結びつくものが必要です。都市計画道路で県道と市道の整備がされていますが、そこにかかっている中規模工場や会社を産業団地に収められないか。あと、市長に就任した後に資生堂さんがあいさつにお見えになりましたので、ぜひ久留米市民の方を雇用してほしいとお願いしたところです。

 地域経済を支えているのは従業員20人規模の小さな会社で、そこが底力になります。中小零細企業が強くないと地域が強くなりません。ゆめタウンさんが年間250億円くらい売り上げていますが、それはそれとして商店街や町の店舗が潰れてしまったらだめですよね。

 ──久留米市の人口減少が続いて、商店街も元気を失っています。

 原口 定住政策をどれだけ進めても、残念ながら期待するほどには来てくれないのです。人口が目に見えて増えるわけではない。コロナでの規制が解除されたら、外国人労働者の問題をどう考えていくかも一定の議論が必要です。

 ──当選後、兄で県議の原口剣生さんとは何か話しましたか。

 原口 剣生さんには「願いがかなってよかったね」と声をかけてもらいました。ずっと私が市長になりたがっていたのを知っていましたから。市と県との関係をもっと円滑にしたいという思いがあって、これまでも県議会との交流はありましたが、剣生さんが力をつけましたので電話一本で話せるような関係にしたいと以前から考えていました。私見ですが、県知事を決める際には県議会がものを言うべきだし、市長は市議会の意向も働くでしょう。すべてを議会で決めるわけじゃないが、あえて「NO」というからには何かあるのではないかと思います。

 ──久留米商工会議所との関係はどうでしょう。

 原口 水の祭典なども商工会議所と三役でやったりするので、政策的にはきちんとやりますよ。きちんと付き合って、普通通りのちゃんとしたかたちでやります。自分できちんとしたスタンスをもっていればよいわけで、有権者からまっすぐ見て「頑張ってるね」とおっしゃっていただけるようにしたい。私を応援してくれた方のほとんどが「とにかく久留米を良くしてほしい」と要望されていますし、イベントを前に進めてほしいということも言われましたので、そのためには各種団体やいろいろな方と話を進めることが必要です。

 ──選挙が生んだ亀裂をどう埋めますか。

 原口 自然に埋まるのではないですか。私に含むところはありませんので終わったらノーサイドと、そう信じています。

(了)

【県政取材班】


<プロフィール>
原口 新五
(はらぐち・しんご)
1960年4月5日生まれ。福岡教育大学附属久留米小学校を経て久留米市立諏訪中学校卒、柳川商業高等学校卒。83年3月福岡大学体育学部中退。89年11月久留米市議会議員(3期9年4カ月)、99年4月に辞職。2003年5月久留米市議会議員(5期18年7カ月)、09年6月久留米市議会副議長(2年)、11年5月同議長(4年)、2022年1月久留米市長就任。

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