2024年11月24日( 日 )

【どうなる久留米市?!】原口新五・新市長 水害対策と「しがらみとの決別」訴え(前)

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第21代久留米市長 原口 新五 氏

 1月16日に告示され、23日に投開票が行われた久留米市長選挙。人口30万、県第三の都市ながら地盤沈下が進む久留米市。今後を決める重要な選挙にもかかわらず、投票率は34.58%と盛り上がりに欠けたものとなった。無所属新人4人が立った激戦を制したのは、元久留米市議の原口新五氏(61)。保守分裂で事実上の一騎打ちとなった元福岡県議会副議長・十中大雅氏(68)を約2,500票という僅差で振り切り、第21代久留米市長の座に就いた。兄の原口剣生県議(自民党福岡県連会長)のインタビューと合わせて、新しい久留米市政について聞いた。

大逆転勝利~保守分裂も「ノーサイド」

第21代久留米市長 原口 新五 氏
第21代久留米市長 原口 新五 氏

    ──選挙戦を振り返って。NHKも含めた各種マスコミは選挙戦終盤まで、対抗馬の十中大雅氏がリードしていると分析。投開票日のテレビカメラもほとんどが十中氏陣営に入っていました。大逆転といっていい勝利だったと思います。

 原口新五氏(以下、原口) 選挙戦の途中で、相手陣営の方々がかなり手応えを感じているという話が入ってきました。一部の出口調査でもこちらが2~3ポイント低いと分析しており、さらに終盤の相手候補の演説会の内容を見ても、どうもこちらの空気が悪いようだというのがトータルでわかりました。だから最終盤の木・金に「もう一度やり直そう」とねじを巻いて、結果的にはこれが勝利につながりました。

 私たちの選挙運動は「市民運動」ですので、組織や団体ではなく個人の方々に頑張っていただきました。だから団体が緩(ゆる)むとか指示系統がうまくいかないということがなく、総合的に見てもあまり崩れなかったと思います。選挙終盤には、私たちを応援している方々に対していろいろなところから「方向を変えてくれ」という申し出が入りました。たとえば取引先からそんなことを言われるとつらいはずですが、それでも私を応援してくださった。あとは農政連の方、県議、市議の方の動きが大きかったですね。

 ──大久保勉・前市長が原口さん支持を表明し、事実上の後継指名をされたことも大きかった。

 原口 確かに、あれで流れが大きく変わりましたね。大久保さんとは市長時代から市政運営について一緒にやってきましたので、コロナ対策や水害、組織の問題についてできるだけ継承してほしいというお話をいただきました。一緒にやってきたことについてはもちろん受け継ぎますが、やり方は変えますとお伝えしています。水害対策については独自プランがありますので、それをやりたいという話をしたら、「ぜひどうぞ、必ず前に進めてほしい」と。あとは「ある一定のところ」との話を進めないでほしいと、大久保さんから話がありました。

 ──大久保さんにしてみれば1期で終わるつもりはなかったでしょう。「ある一定のところ」とのしがらみが、2期目を断念するにあたってネックだったとされています。

 原口 それが一番大きかったのではないですか。1期で辞めるつもりで市長になる人はいませんからね。平常心で自分のプランをまっすぐに進めることができない、100%の気持ちでやれないから辞めるということなのでしょう。おそらく(市長選候補者の)顔ぶれが出そろったときに、懸念されたことがあったのでは。だから、「そうならないようにしてほしい」と、私の支持を申し出たのではないかと思います。

当確を受けて
当確を受けて

 ──久留米の選挙は毎回ドラマがありますが、こういった状況を根本的に変えられるのでしょうか。

 原口 市長選についてはもう終わったことで、市議会と県議会はうまくいっています。マスコミの取材に対しては「これは保守分裂ではない」と何度も申し上げました。30万都市で現職市長が辞めたときに無投票というのはあり得ないんですよ。たとえば保守系の方が2人も3人も候補者として立って、議論して、選挙で審判を仰ぐのは当然のことで、それが終わればノーサイドは当然です。久留米市議会と県議会がこれだけスクラムを組んだわけですから、何も心配することはないと思っています。

 ──今回、十中氏の選対本部長に地元選出の衆院議員・鳩山二郎氏が就きました。鳩山氏との関係は?

 原口 市長選については答えが出たわけです。さらに福岡県下には国会議員の方がたくさんいらっしゃいますので、その皆さんと一緒にやっていくということだと思います。県と市の予算はたくさん付いていますので、あとは国の予算をどう付けるのか。それは私が考えていくことです。

 ──しがらみとうまく付き合えなかったことが、大久保前市長が辞める原因になった。原口市長に代わってしがらみとどう付き合うのか、あるいは断ち切れるのか。

 原口 大丈夫じゃないですか(笑)。うまくやらないといけないでしょう。ただし、私の考えは通しますよ。譲れない部分は譲りませんし、そうでないと私が市長である理由がなくなります。私を応援していただいた方々もそこに期待されていますので、話し合いをもって、きちんとしたスタンスをもってやれるという自信があります。とにかく、いろいろな方と多様なテーマについて話さないといけない。それを進めていかないと市民の方が困りますから。

(つづく)

【県政取材班】


<プロフィール>
原口 新五
(はらぐち・しんご)
1960年4月5日生まれ。福岡教育大学附属久留米小学校を経て久留米市立諏訪中学校卒、柳川商業高等学校卒。83年3月福岡大学体育学部中退。89年11月久留米市議会議員(3期9年4カ月)、99年4月に辞職。2003年5月久留米市議会議員(5期18年7カ月)、09年6月久留米市議会副議長(2年)、11年5月同議長(4年)、2022年1月久留米市長就任。

(後)

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