【技能実習生】ベトナム人実習生にみる搾取の構造 (後)
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主にベトナム人技能実習生や特定技能の在留資格で日本に入国する実習生たちの大半が、母国の送り出し機関に法外な手数料を支払って来日しているという現実がある。日本政府の入国規制措置により、自国で長期間の待機を強いられていた外国人の大半が、この手数料といわれる多額の“債務”を背負って入国しているのである。
技能実習生と特定技能で異なる「搾取手法」
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外国人人材の適正な雇用に向けて主にベトナム人技能実習生および特定技能の在留資格で、日本企業に雇用されて働く人材から搾取する傾向に改善は見られない。留学生と技能実習生が入国時、多額の借金を抱えざるを得ない「闇金」の存在や、搾取の手法については、筆者が過去の記事で紹介した通りである。
今回は、現地の送り出し機関が日本企業に特定技能を紹介し、雇用契約が締結できた場合の搾取方法と、技能実習生が日本企業に雇用されて働く場合の「闇金」の搾取方法を比較して、両者の搾取方法の違いを紹介する。
技能実習生の場合
技能実習生の場合、ベトナムの送り出し機関が正規の手数料として実習生から受け取れる手数料額は3,600ドル(日本円で約40万円)と決められている。
そこで来日してきたベトナム人技能実習生に、入国するまでにいくら必要だったか尋ねたところ、口をそろえて80万円から150万円もの高額な費用を支払ったと話す。なかには180万円と話す実習生もいた。この法外な費用の理由などについては、筆者が過去で記事にしているので、ぜひ参考にしていただきたい。
近年は2019年から新設された特定技能を雇用することに、企業が重きを置いている傾向がある。技能実習生を雇用する場合、現地送り出し機関と企業の間に、法で定められた日本の協同組合(監理団体)を挟まなければならないが、特定技能は直接雇用できる点や、人手不足解消を目的に雇用できる点が企業に魅かれている理由である。
この特定技能においても現地送り出し機関が「闇金搾取」を行っている。日本の人材派遣会社で行う有料職業紹介業を学んだのか、日本人が容易に理解できるように、特定技能は中間に協同組合を挟む必要がなく、送り出し機関から、直接、日本企業と交渉できる利点を闇金の手法に組み込んでいる。
たとえば日本の有料職業紹介業社が日本企業へ人材を紹介し、その人材が正社員で雇用された場合、その雇用された人材の年収の30%を紹介手数料として受け取れる。この手法を真似ているかのように、ベトナムの送り出し機関が企業に特定技能を紹介し、正社員として雇用された場合、特定技能1人に対しておよそ10万円から15万円の紹介手数料を要求したうえで、その他にかかる費用を含む合計50万円から60万円もの請求をしているのである。
まだ新設されて日の浅い特定技能人材の絶対数が足りない現状も、その要因の1つになっているのか、この高額な費用を支払ってでも、条件を受け入れて雇用したいという企業が多い。当然ながら、この額を得るために日本企業を紹介した紹介者に対する高額な報酬も発生する。
特別なテクニックを有する“ブローカー”と称する「闇金業者」でなくても、一般の日本人、外国人を問わず、特定技能の受け入れ企業を紹介しさえすれば、あとは送り出し機関と受け入れ企業との間で正社員雇用の契約が締結すれば、高額な紹介料を受け取れるのである。
「技能実習生の受け入れ雇用先を紹介した場合よりも、特定技能の受け入れ雇用先企業を紹介した方が、かなり高額な紹介料を支払える」と送り出し機関は証言する。
これに事務手数料や交通費、接待費用などの必要経費を含めた高額な費用を雇用先企業へ請求し、この受け入れ雇用先の紹介を受けられた特定技能者本人には、雇用企業の紹介料が請求されるため、これが多額の債務となっている。
技能実習生同様、特定技能者もまずは債務返済、次に実家への仕送りとなり、当分の間、本人の手元にほとんどお金が残らない生活を余儀なくされている。
せめて日本人側が受け取っている紹介手数料の搾取だけでもなくすように今後も取材を続けていくつもりである。
(了)
【岡本 弘一】
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