再び廃業説が囁かれ出した地場老舗~(株)善工務店
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創業から100年以上の業歴を誇る地場老舗の建築工事業者である(株)善工務店。かつては公共工事を主体に実績を重ね、業界内でも相応の影響力をもっていた同社だが、近年の事業規模は大幅に縮小。十数年前に流れた廃業説が、再び囁かれ出している。
創業100年以上の老舗
同社は1920年10月に、創業者・善良七氏が浮羽郡で建築工事を手がける「善工務店」として個人創業したのが始まり。その後、53年2月に現在地である福岡市中央区に本社を移転し、55年2月に現商号で法人化した。
現在、本業となる建築工事業のほかに不動産の賃貸を手がけており、2020年10月期の売上構成比は建築工事24.3%に対して不動産賃貸業は75.7%と、不動産賃貸の比重が高くなっている。建築工事では、過去には公共工事の受注が多かったようだが、近年はほとんど手がけておらず、民間元請が主体。また、不動産賃貸では主な物件として、商業施設「季離宮(ときりきゅう)」(福岡市中央区今泉1-18-25)の管理・運営を手がけている。06年11月にオープンした同施設は、約525坪の旗竿型敷地に、地下1階・地上2階建の建物を3棟配置したつくりで、07年度グッドデザイン賞(建築・環境デザイン部門)を受賞するなど、そのデザイン性の高さが相応に評価されている。
廃業説の真偽は?
90年代後半には公共工事を主体に30億円台の売上高を計上していた同社だが、その後は減収傾向で推移し、2009年10月期の売上高は17億円台まで減少。ちょうどこのころ、一時は廃業説も囁かれていた。
だが、その後も廃業することなく営業活動を継続してきた模様だが、その事業規模はさらに大幅に縮小。近年の売上高は1億5,000万円程度で推移するまでになっている。
一方で、経常利益率は毎期10%前後と高水準であり、その長年の蓄積によって自己資本比率は90%を超えるほか、無借金経営を続けており、財務体質は盤石と言って差し支えない内容となっている。
そうしたなか最近になって業界内で、十数年前と同じような同社の廃業説が再び囁かれている──。この真偽について同社に直接尋ねてみたところ、「外部にお話しするような内容ではない」とコメント。廃業説については、明確に否定も肯定もしなかった。
なお、前述のように事業規模が縮小傾向にあるなかで、09年時に20数名いた社員数は、現在は4名(3月25日時点)まで減っている模様。加えて、73歳という現代表の年齢もあって、巷で流れる廃業説にはある種の説得力も感じられる。
創業から100年以上の業歴を重ねてきた地場老舗である同社だが、このまま粛々と事業活動を継続していくのか、それとも、やはり廃業という道を選択するのか──今後の動向が注目される。【坂田 憲治】
<COMPANY INFORMATIRN>
代 表:善 高志
所在地:福岡市中央区今泉1-21-13
設 立:1955年2月
資本金:7,600万円
業 種:建築工事
売上高:(20/10)1億5,220万円法人名
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