2024年12月23日( 月 )

円安と日本経済~アザーニュース(後)

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 Net I・B-Newsでは、ニュースサイト「OTHER NEWS」に掲載されたDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNET(本部:日本)はECOSOC(国連経済社会理事会)認証カテゴリー1に位置付けられている(一社)。「OTHER NEWS」(本部:イタリア)は世界の有識者約14,000名に、英語など10言語でニュースを配信している。今回は20日掲載の記事を紹介する。

1ドル150円まで円安が進んだとしたら何が起こるか?

円安 イメージ    しかし、このままさらに円安が進み、仮に1ドル150円まで円安が進んだとしたら何が起こるであろうか?たとえば、外国人労働者にとって、円安は実に頭の痛い問題だ。日本国内で得た収入が母国通貨に換算すると目減りしてしまうからだ。就労先としての日本の魅力は円安でどんどん低下している。円安は、労働市場に深刻な悪影響を与えている。厳しい規制のともなう技能実習制度では、もはや十分な労働力の確保が不可能になるのではないだろうか。外国人を正式な労働者として受け入れるシステムの検討など、政策の抜本的な見直しが必要となるかもしれない。そして、物価。3月の企業物価指数は前年同月比9.5%上昇と、第2次石油危機の影響が残る1980年12月以来の高い伸び率となった。値上がりしたのは744品目のうち526品目と全体の7割を占め、2%のCPI(消費者物価指数)の上昇もあり得るのではないかといわれている。給料の伸び幅が物価の伸び幅と連動していないので、今後スタグフレーション(景気後退のなかでインフレが同時進行する現象)の可能性もある。

 国際決済銀行が発表する『実質実効為替レート』は円の総合的な実力を示すものだが、これが約50年ぶりの低水準になっている。つまり、日本円は70年代前半と同じくらいの実力しかないということだ。1ドル=150円にまで大暴落すれば、それはつまり、私たちの生活が、70年代初頭の水準以下に引き落とされてしまうことを意味する。当時、海外旅行ができたのは、一流のプロ野球選手や芸能人など一握りの人だった。いまはコロナ禍で海外に行けないだけと思っているかもしれないが、コロナ禍が明けても、一般人は物価が高すぎて海外に行けないという事態になっているだろう。仮に行っても、たとえば、米国のマクドナルドのビッグマックは5.81ドルだが、1ドル=150円で円換算すれば、871.5円。国内での価格は390円なので、単純計算で約2.2倍だ。海外で気軽にファストフードを食べることすらできない、そんな惨めな時代になってしまうのだ。

金融政策の見直し

 このような事態に陥らないためにも、日本政府は積極的な為替介入を行うべきではないだろうか?日銀は4月末の金融政策決定会合で、長期金利上昇を抑え込む姿勢を改めて鮮明にしたが、はたして本当にそれでよいのであろうか?日本のみが独自の金融政策を続けているなかでは、いくら為替介入したところで、その効果は限定的である。金融政策を見直し、海外との協調を計り、これ以上の円安を防ぐ政策こそが今必要ではないだろうか。

(了)

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