岸田内閣格差是正から富裕層優遇に転向
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「岸田内閣の政策提言から『分配是正・格差是正』が消滅した」と指摘した6月3日付の記事を紹介する。
岸田内閣の迷走が深刻だ。
昨年9月の自民党党首選。
岸田文雄氏は「新しい資本主義」を掲げた。
その核心は「分配の是正」。
ここまでは正しかった。
日本経済は過去30年間、世界最悪の軌跡をたどった。
30年間の経済成長がほぼゼロという時代を経過した。
経済の停滞は日本固有の現象であり、世界経済全体は大きく躍進した。
日本の名目GDPがピークを記録したのは1997年。
25年の時間が経過したが、25年間の日本経済の成長はゼロにも届かない。
ドル換算の日本の名目GDP水準は1995年を100とすると2020年は
91。米国のGDPは273に、中国のGDPが2034に達するなかで、日本のGDPだけが25年前の水準を下回った。
日本の1人あたりGDPは2000年に世界第2位を記録したが2020年には世界第23位にまで転落した。
増加しなかったのはGDPだけでない。
労働者の賃金もまったく増加していない。
OECDが公表している購買力平価換算の1人あたり平均賃金で日本は韓国に追い抜かれた。
5月の連休に岸田首相はロンドンを訪問。
金融街シティーで講演した。
講演内容については、
5月7日付ブログ記事
「岸田資産所得倍増プランで目が点」
https://bit.ly/3sP4VIcメルマガ記事
「対米隷属岸田内閣支える凋落野党」
https://foomii.com/00050にも記述したが、岸田氏は
「日本経済はこれからも力強く成長を続ける」
と述べた。
しかし、日本経済はこれまで、力強く成長していない。
世界最悪の経済停滞を示し続けてきた。
事実に基かない発言は日本の信用を貶める。
2010年6月8日、菅直人内閣は内閣発足の初日に質問主意書答弁書を閣議決定した。
その内容は、
「尖閣諸島に関する我が国の立場は、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問
題はそもそも存在しないというものである。」尖閣諸島に領有権問題は存在しない。
そうなると、日本政府は尖閣海域の中国漁船に対して「国内法」で対応することになる。
それまでは、尖閣海域の中国漁船に対する対応は「日中漁業協定」に準拠するものだった。
具体的には、
「尖閣海域で日中両国が漁業活動を実施する際、相互の国が領海内における相手国漁船に対し、漁業協定に基づき、領海外に誘導する」
という対応が取られてきた。
日中漁業協定は尖閣諸島の領有権問題を日中両国政府が「棚上げ」したことを踏まえた取り決めだった。
日中両国政府は1972年の国交正常化に際して、尖閣諸島の領有権問題が存在することを認め、その解決を先送りする「棚上げ」で合意した。
「棚上げ合意」が存在することは、1979年5月31日付の読売新聞社説が明記している。
その合意を日本政府が一方的に変えた。
尖閣海域の中国漁船への対応が変更され、それまでは海保巡視船が漁船を追い払うだけだったものが、
2010年9月7日には、海保巡視船が1隻の中国漁船を接触するほど追い上げ、あげく漁船とほかの巡視船がぶつかり(あるいはどちらかがぶつけ)、接触から3時間も追い回した末に漁船と乗組員を確保し、船長を逮捕する騒ぎを引き起こすに至った。
尖閣海域中国漁船衝突事件は日本が尖閣海域の領有権問題への対応を一方的に変更したために発生した事案。
この事案も日本の国際的信用を貶めるものだ。
※続きは6月3日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「岸田内閣格差是正から富裕層優遇に転向」で。
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