坪1,000万円拡大
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1990年8月のことである。坪1,000万円の値がつく土地が広範囲にあった。たとえば、昭和通りの大正通り交差点(中央区舞鶴)から西へ200m近くまでの道路沿いが、坪1,000万円の値をつけていた(現在の西日本シティ銀行赤坂門支店基準)。
ところが、2008~09年のリーマン・ショックのときにはさほど値はつかなかった。この大正通り交差点から、さらに西へ600mの角地(南側)が入札にかかっている。専門家は「もう最低800万円以上で談合されている」と話す。この勢いが年末まで続けば、坪1,000万円のゾーンが拡大される。
空き室率10%の実体は?
「オフィス空き室10%」をめぐり福岡で騒がれている。専門家は次のように見通しを語る。
「もともと、この調査の信憑性は薄かった。しかし、10%の空き室率が現実化すれば投資利回りは5%を割り、オーナーたちの投資意欲は薄れるであろう。まずは第1ゾーンのお客をどう福岡に呼び込むかという戦略を行政・民間が一体となって必死に講じないと大事になる」。
オフィス客層は3分類される。第1ゾーンは家賃が坪3万円以上(実際は2.8万円以上)で、福岡地所天神オフィスセンター、西鉄再開発ビルが該当する。福岡地所はトップバッターであったため、苦労して埋まった。これに続く西鉄再開発ビルは、バーター取引で悪戦苦闘しつつも目鼻がつく。その後が悲惨な状況に転落する可能性が高いとか。だから、グレードの高い客を福岡に呼び寄せることが不可欠という。
第2ゾーンとは、最低月額坪2万円である。天神では日本生命・セキスイ再開発ビル、中洲5丁目明治生命再開発ビル、中洲中島町鹿島ビルなどが該当する。この第2ゾーンの建築投資が一番大きい。8,000m2のビル建設を予定していたオーナーが計画を断念した。この第2ゾーンの家賃は「坪2万円割れする」と悲観的な観測が流れているとか。
第3ゾーンは、平均月額で坪1.5万円とみられている。この層は手堅く、建設ラッシュとなってきた。第3ゾーンがアップしていくケースは少ないが、逆に上から転落してくる客が多いためだ。
だが、ここにきて地域格差の争いが顕著になってきた。たとえば、祇園町(博多区)から天神3丁目に移ったり、山王町(博多区)から博多駅南1丁目に移転したりする場合は、家賃代に変動はなかった(値上がりしなかった)。地名ブランドに引かれたのである。
どうであれ、オフィステナント業には前途の光明はなくなったと警戒情報を発する時期になってきた。
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