吉野家が中国で伸び悩んでいる理由(後)
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吉野家がここ数年、中国で伸び悩んでいる。2020年から2021年にかけて、合わせて50以上店舗を閉鎖した。
食品業界に従事する文琪氏も吉野家について、かねてから中国市場の流れに合わせようとイノベーションを求めているが、それにともなう業務がはかどっていないと見ている。「中国の吉野家のメニューや味は日本のとは違っており、最近は鍋物やティータイムメニュー、おでんなども出している。いずれもさまざまな消費者層を取り込むためのもので、またティータイムなどは食事時以外の時間の活用を狙うものである」という。ただ、「品数が多すぎ、またオリジナル感も出ていない」とも述べている。
吉野家はここ何年か、店員の数がそのままで品数だけが増えて、管理の質が落ちている。以前は牛丼や盛り合わせ丼だけだったが、今はおでんや鍋物もつくらなければならない。鍋物は出し方が牛丼とはまるで違うので、店員は何役もこなすことになり、同時にさまざまなニーズに応えるのは無理である。この結果、マネジメントや店舗の作業も一段と厳しさを増している。
巻き返しが果たせない理由は
吉野家は中国で、さほどの地位をもつわけでもないが、他のファストフードチェーンが鳥の唐揚げばかりであるのに対し、メニューが中国人のニーズに合っている。
つまり、吉野家の抱える問題は従来のチェーン店とは異なっており、市場ニーズをいかに捉えていくか、である。すべての商品で売上を伸ばしていくには、営業活動をしてでもニーズを捉えなくてはならない。
吉野家の管理面での問題について朱氏は、スターバックスに似ていると語る。全般的に国外の企業は中国になかなか溶け込めず、中国での事業発展が難しくなっていて、吉野家は今、社内の問題だけでなく社外でも課題を抱えており、これがもう何年も精彩を欠いている一番の理由である。「全体的に見て、吉野家はあまり期待できそうにない」と述べている。
中国で飲食業を営むのは決していたやすいことではなく、吉野家のように客単価の低い店はライバルが多数存在する。
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吉野家“シャブ漬け騒動”、「戦略」至上主義に潜む罠中国の飲食業界は、世界的に最も競争の激しい分野である。タイプも多くて地域による特徴もあり、吉野家だけでなく、どの店も競争力を維持するのが大変な状態である。資金をバックに新たなブランドが成長を続けるなか、吉野家の立ち位置も下り坂をたどっている。変化の著しい中国では、「懐かしの味」が好まれる一方で、若者世代を中心に新鮮なものへの期待も大きい。よって、各社とも凝り固まっていてはダメで、常に新型化を進めた上、ビジュアル面やコミュニケーションで消費者と気持ちを通じていかなくてはならない。
吉野家が中国で復活をはたすにはイノベーションが必要だ。これこそ生き残りへの唯一の道である。
(了)
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