佐賀唐津風力発電事業から撤退(1)住民の反対運動で
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大和ハウスグループで再生可能エネルギー関連事業を手がける大和エネルギー(株)が、佐賀県唐津市七山の脊振山系西側で2024年に着工、26年の運転開始を目指していた風力発電事業から撤退することがわかった。計画予定地に入る市有の保安林の指定解除に見通しが立たないことが要因とみられるが、結果的に地元住民らの反対運動が奏功した格好となった。
計画は「DREAM Wind佐賀唐津風力発電事業(仮称)」で、最大高159mの巨大なプロペラ型風力発電機8~10基を標高700mの山の尾根近くに設置し、最大3万2千kWの大規模風力発電所を稼働させるもの。しかし、風力発電機の設置区域の一部が唐津市所有の保安林が含まれることから、開発には国による指定解除が必要となっていた。
大和エネルギーによる当初計画では、福岡県糸島市二丈と佐賀県唐津市七山の脊振山系西側に大規模風力発電所を建設するものだった。しかし、情報開示の不徹底や住民説明会での対応のまずさから大和エネルギーへの不信感は高まり、糸島市側で住民による反対運動が活発化。21年1月に提出された環境影響評価(アセスメント)方法書では発電機の設置場所を含む事業区域から糸島側の全エリアを除外した経緯もある。
その後、唐津市側にも反対運動が波及するなか、保有林の指定解除の審査を担う佐賀県は21年9月30日、事業が地域における公的な土地利用計画に位置付けられていないとして「指定解除の要件に合致していない」と経産省に通知。近年の豪雨による土砂災害や流木被害などが続くなか、保安林がはたす役割は大きく「木の伐採、土地の形状変更、工作物の新設は環境の保全上の支障が生じる恐れが強く、慎重に考えるべき」と指摘していた。
同社は首尾一貫して、法令を遵守した開発計画であることを主張してきたが、その言動と実際の行動には不一致の感が否めなかった。開発規模が大きい分、地域の「社会的受容性」を満たすことは必須要件であり、風力発電事業の専門家ではない住民に対して、情報開示は十分か、一部の住民にしか説明できていなかったのではないかなど、事業者には徹底した配慮と反省が求められる。
【児玉 崇】
法人名
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