2024年12月04日( 水 )

中国経済新聞に学ぶ~習近平政権 経済対策に本腰

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 中国共産党前中央政治局常務委員周永康に対し、11日無期懲役に判決が突然発表された。このニュースが夜に流れ、中国社会に大きな衝撃が走った。その理由は、

 一、 前政治局委員、重慶市委・書記簿熙来の判決には、中央メディアの予告があったばかりか、数日間の審理の全プロセスが中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で放送されて透明性を強調、習近平は「法治国家」の幕を開けたとメディアから称賛された。しかし政治的序列が簿熙来より高い周永康なのに、なぜメディアを封鎖して秘密裡に審理を行い、最終的に無期懲役の判決を下したのか。何の予告もなく突然の出来事であった。
 二、 簿熙来は500万元余り(約1億円)の収賄に加え、職権の乱用とその他の罪で無期懲役刑となった。それに対し周永康は1億2千万元の収賄と、家族らへの21億元余りの利益供与、合わせて23億元(460億円)に関与し、その他職権乱用、国家機密漏えいの罪も犯しているが、それでも死刑ではなく無期懲役にとどまった。簿熙来と比べると軽い量刑である。

 いずれにしても一審判決であるが、周永康は上訴しない意思を示した。つまり国際社会が注目する「周永康事件」は幕を閉じたことを意味する。今後、周永康が死なない限り、再び世間に注目されることはないだろう。

 人々の間では、習近平政権は周永康より大物を逮捕しようとしているのではないかという憶測が生まれている。しかし現在の状況を見ると、習近平が指導する大規模な反腐敗運動は一段落し、「常態化」の段階に入ったようだ。つまり更なる大物は安心して老後を過ごせるということだ。

china 大騒ぎした反腐敗運動はなぜ収束したのか。中国経済は日々厳しさを増し、政権は政策を、反腐敗運動から中国経済の振興に重心を移さなければならないからだ。
 5月下旬、習近平は3千名の日本訪中団と会見した次の日、北京から浙江省舟山市(舟山群島新区)の視察に出かけた。そこで国家石油戦略備蓄基地と造船基地を訪れた。習近平は、海洋経済は一つの経済問題だけでなく、国家の安全と対外経済戦略とも関わっていると述べ、舟山市が中国の海洋経済の中心基地になるよう励ました。さらに杭州の民営企業の視察でも、民営企業の視察でも、民営企業が核心技術を積極的に開発して技術の刷新を行い、中国の製造業が「価格優先」から「技術優先」へ移行し、製造強国の礎となるよう希望した。

 習近平は視察を終えて、浙江省杭州市で華東地域7省・直轄市党委員会のトップを集め、経済振興のための提案をした。投資に頼り、輸出で経済を主導してきたやり方を変え、消費、投資、輸出を柱として経済を主導すること。さらに第二次産業主体から第一、第二、第三産業が共同して変化を促進すること。また資源消耗型から科学技術先行型へ移行し、労働者の資質を高め、管理を刷新すること。さらに戦略的新興産業、新業態とモデルの育成、市場の発展の推進である。

 習近平は経済問題について自分の意見を長々と述べることは少ないが、今回省委員会書記と省長たちに対しは中国経済について語っている。これは習近平が中国経済復興の幕を自ら開けたことを意味する。また中国経済発展の戦略制定と決定は、李克強ではなく国家主席の習近平にあることを意味する。国民はかねてから「李克強経済学」ではなく「習・李経済学」を望んでいた。

 中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議が11月に予定されている。中央委員全員と委員候補は、年に一度開かれる中国の政策決定の最高会議に出席し、第13次五ヶ年計画(2016年~2020年)について集中審議することになっている。この計画の中心は、今後5年間、社会全体の改革・刷新制度を確立し、経済・社会の発展を実現することだ。それによりGDPの量より質の向上を図る。

 11月まであと数か月を残すだけだが、『第13次五ヶ年計画』の内容についてはこれと言った動静がない。中国経済新聞が北京で取材して多く聞かれたのは、「問題は目の前にある。しかし最も良い合理的な解決方法にはまだたどり着いていない」という言葉だった。今年下半期から始まった「反腐敗」から「経済」への移行がキーワードになるだろう。

本記事は2015年6月15日付の中国経済新聞より転載しております。

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