2024年07月17日( 水 )

ゼネコン&マンションデベロッパー100社特別レポート2022発刊!(前)

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 (株)データ・マックスはこのほど、地場ゼネコン80社とマンションデベロッパー20社の調査を行った(2022年3月期までの決算が対象)。各指標をみると二極化している状況が読み取れるが、今回の調査対象で大幅に業績が悪化した企業はないと取れる。だが、長引くコロナ禍含め、人材不足や資材高騰などの影響が垣間見えており、引き続き注意が必要になると考えられる。

都市計画も続々発表 成長を続ける福岡市

 2020年から続くコロナ禍においては、依然としてコロナ患者数は高い数値で推移しているが、特定の都道府県のまん延防止等重点措置が22年3月21日に解除されて以降、規制もほぼなくなり人流は戻りつつある。しかし、いまだインバウンドなどの本格化が見込めないなか、第三次産業、そして付随する建設業でも新型コロナウイルス関連倒産が相次いでおり、その数は4,200社を超え、なお増え続けている。また、東日本大震災の復興バブル、東京オリンピック特需が終焉を迎えつつある昨今、新規で受注基盤を構築できず、経営破綻に陥る企業も散見され始めた。

 そのようななか福岡市では、天神ビッグバン、博多コネクティッドなどをはじめとしたさまざまな取り組みにより、さらなる成長が見込まれる。また福岡市は政令都市のなかでもトップレベルの人口増加数/率を誇る。福岡市発表の国勢調査結果確報によると、22年までの20年間で人口と世帯数はいずれも増加を続けており、人口は137万9,680人から163万764人で25万1,084人の増加、世帯数は63万470世帯から85万6,747世帯で22万6,277世帯の増加となった。コンパクトシティである福岡では、開発の進む都市近郊で実需用マンションの需要がさらに高まるなど、地価高騰が顕著になっている。

上位企業は好成績も 業界の不安要素が顕著

 このような状況下で、地場ゼネコンの多くが口をそろえて懸念材料として挙げるのが「人材不足」である。全国的にも建設業の就業人口は減少傾向で推移している。ある企業からは「建設業界では高齢化が課題となっているため人材を採用したいのですが、ほとんどが大手ゼネコンに流れてしまうのが現状で、中小のゼネコンはなかなか目を向けられないことが多いです」という声が聞かれた。人材確保のために賃金引き上げを模索するも、社内の既存社員との兼ね合いもあるため、そう簡単に事を運べないのも現状である。人材不足とは裏腹に、ウィズコロナに向けて近年はホテルや商業施設などの建築も増加している。ウィズコロナとは言いつつも、新型コロナウイルス感染者が出れば現場は工事の一時中止を余儀なくされてしまうため、現場での働き手はより一層気を引き締めて感染対策にも努めているようだ。

 デベロッパーの動きとして、地価、建築コストが上昇している昨今、資本力、資金調達力のある県外資本のデベロッパーが、福岡に進出してくる事例が増えている。地場マンションデベロッパーの状況としては、福岡都市圏の地価高騰を受け、筑紫野地区などの郊外へと進出している。また、専有面積を小さくするなどし、グロス価格を抑えることに注力する動きがみられる。

各指標でランキング

 今回の調査では、福岡県内の地場ゼネコン80社、マンションデベロッパー20社の各指標をランキングした。

福岡県内の地場ゼネコン80社、マンションデベロッパー20社の各指標をランキング

地場ゼネコン80社

売上高/伸び率ランキング

ゼネコン&マンションデベロッパー100社特別レポート2022発刊
※クリックで拡大(PDF)

    80社中40社が前期より増加している。売上高が100億円を超えた企業は前年より1社減少の11社だった。上位2社は前年と同様で、それぞれ微減はしているものの圧倒的な売上高を維持している。1位のA社は2位と約100億円の差をつけた。前回9位だったB社は、前期比約17億円の増収となり5位に浮上している。北九州を中心に九州各地に営業エリアを広げており、今回で4期連続の増収となった。また、前回12位、今回14位にランクインしているC社は、2019年が176億円と高水準の売上高を計上しているが、これは半数以上が兼業であるレジャー事業によるもので、新型コロナによる打撃を受け減収を余儀なくされている。

 伸び率で目立ったのが、主に保育園や福祉施設の建築工事で相応の実績をもつD社で、売上高は前期比176.54%となる24億7,883万円を計上した。また、D社の親会社であり前回52位、今回27位のE社は、2期連続で大幅増収。一時建設業界を騒然とさせたE社だが、次回計上される見込みの大型工事の受注も堅調で、相応の売上確保が予想されている。一方で、大きく減収となったのが前期比57.57%減、今回最下位となったF社だが、次回決算からは大型の官庁工事の竣工により、V字回復となる見込み。

(つづく)

【立野 夏海】

(後)

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