九州地銀グループの実力度を検証(2)
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前回に引き続き【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算を見て頂きたい。
(2)西日本シティ銀行
・預金残高2位の西日本シティ銀行は貸出金残高・当期純利益とも2位を守っているものの、1位の福岡銀行に大きく水をあけられている。その大きな要因は、2004年10月、同じ福岡市に本店を持つ福岡シティ銀行を救済合併したために、重複店舗の統廃合やタスキ掛けの人事など、後ろ向きの処理に10年余り追われたからだ。
・預金残高は7兆3,300億円(前期比5.4%)と地銀平均の3.8%を大幅に上回り、福岡銀行の増加額3,966億円に対して、3,776億円増加し、善戦しているのが分かる。
・貸出金残高は6兆1,586億円(前期比5.3%)。3,088億円の増加にとどまり、地銀平均の5.7%に届かなかった。一方福岡銀行は5,181億円増加しており、西日本シティ銀行にとっては今後貸出金を如何に増やしていくかが大きな課題となっている。
・昨年12月に九州銀行を完全子会社とし、その救済合併の傷も癒え、やっと福岡銀行への反撃体制を築いたばかりであったが、その前に立ちはだかることになったのが九州FG。預金残高2位の座を明け渡すことになる。その座を挽回するには残された時間はなく、今こそ旧大蔵省(現金融庁)出身の谷川浩道頭取(61)の手腕が問われていると言えよう。(3)肥後銀行
・預金残高3位の肥後銀行は、4兆1,965億円(前期比2.2%)と地銀平均の3.8%に届かない状況にある。また貸出金残高は3位の座は確保したものの、2兆6,695億円(前期比4.4%)で、地銀平均の5.7%を大きく下回っている。確かに熊本銀行も1兆0,828億円(前期比5.1%)と平均を下回っているものの、これらの低迷する計数の裏には、肥後銀行が鹿児島銀行と経営統合に踏み切らざるを得なかった本当の理由が隠されているのではないだろうか。
・それを裏付けるように2015年3月期決算に大きな変化が出てきている。肥後銀行の当期純利益は129億円。経営統合する4位の鹿児島銀行は136億円(前期比39億円増)と大幅な増益を達成。7億円の差をつけられて4位に後退しているのだ。
鹿児島銀行が経営統合を控えて底力示したとの見方もあるが、主導権争いの生臭さを感じるのは筆者だけだろうか。ただ来期の収益予想については共に125億円となったのは、互いの面子をかけた虚々実々の駆け引きの結果、足して二で割った妥協の収益予想なのかもしれない。
いずれにせよ、権力闘争は緒についたばかりと言えよう。(つづく)
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