2024年07月17日( 水 )

ゼネコン&マンションデベロッパー100社特別レポート2022発刊!(後)

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 (株)データ・マックスはこのほど、地場ゼネコン80社とマンションデベロッパー20社の調査を行った(2022年3月期までの決算が対象)。各指標をみると二極化している状況が読み取れるが、今回の調査対象で大幅に業績が悪化した企業はないと取れる。だが、長引くコロナ禍含め、人材不足や資材高騰などの影響が垣間見えており、引き続き注意が必要になると考えられる。

地場ゼネコン80社(つづき)

売上総利益/率ランキング

 売上総利益は80社中36社が前期より増益となった。上位5社は前回と同じ顔ぶれ。A社が売上高同様1位だが、2位のG社が堅調に利益を上げており、前回約17億円あった差は約9億円となった。伸び率では、大幅増収を遂げたD社が99.86%増と目立つ。また、前回20位、今回8位となったH社は、前期比71.32%増の15億1,962万円を計上。売上高も約30億円増収している。

 売上総利益率はI社が前期比10.39ポイント増の30.35%で1位となった。官庁工事のみ受注している同社は主に建築工事を手がけるが、今期は受注の3分の1を土木工事で占めており、約4億円の減収に対し粗利では約1億円の増収となっている。ある企業からは「土木工事は利益率が高いため、これからは積極的に参入していきたい」という声も聞かれた。また今回、前期比11.38ポイント減で1.74%となったJ社は、22年決算でV字回復となっている。

経常利益/率ランキング

 経常利益は80社中39社が前年より増加している。今回経常赤字を計上したのは1社だけだった。上位3社は前回と変わらない。今回は1位のA社が前年比25.87ポイント減の23億1,500万円となり、2位で22億4,355万円を計上したK社と僅差となった。前回経常赤字を計上していた2社は、黒字転換となった。

 経常利益率でみると、10%以上となったのが10社、1%を割り込んだのが7社となった。ランキングでは売上総利益率同様I社が17.77%で1位。2位は本社のある八女近郊、福岡市で民間元請の建築工事を中心に手がけるL社。前回、原価率高騰を受け営業段階から赤字を計上していたものの、立て直し、前期比18.17%増の15.45%となった。

自己資本比率ランキング

 自己資本比率は平均44.17%で前年比3.18ポイント増。自己資本比率が30%を超えた企業は58社、うち70%を超えたのは前年の5社から10社となった。1位は前回と変わらず、主に教育施設や店舗、工場などの工事を手がけているM社で、自己資本比率は88.02%と圧倒的な数字となった。2位は、近年グループ化したN社で83.89%とこちらも高水準であった。

 今回、10%を下回ったのは80社中2社。前回3.79%で最下位となっていたO社は、前回より13.4ポイント増の17.19%となり、73位。また、今回最下位のP社も、前回より3.41ポイント増の7.63%で、全体的な底上げが見られる。

マンションデベロッパー20社

※ランキング対象は本業が鉄道の2社を除く18社

売上高/伸び率ランキング

 18社中10社が前年より増加、上位8社が売上高100億円超となった。3位までは前年と同じ企業がランクインしている。1位のQ社は、前期比33億3,300万円増の347億7,800万円を計上し、2位と約30億円の差をつけている。

 伸び率で目立ったのが、売上高4位にランクインしたR社。2017年に初めて売上高100億円を突破し、決算期によって変動は激しいが、今回、前期比147.65%増となり、過去最高となる150億3,836万円を計上した。前期比95.84%増のS社は、今回V字回復したかたちとなっており、次回決算でも大幅増収を見込んでいる。

売上総利益/率ランキング

 売上総利益は18社中10社が前年より増加となった。順位に変動はあるが、1位から5位は売上高上位の5社と同様の企業がランクインしている。前回12位だったR社が大幅な増収にともない、今回は4位に浮上した。

 売上総利益率では前期比4.34ポイント増のT社が43.43%と唯一40%台に乗せ、依然高水準の粗利率で1位を継続している。

経常利益/率ランキング

 経常利益は18社中9社が前年より増加となった。うち経常赤字となったのが1社であった。前回経常赤字に転落していた2社は今回黒字転換している。

 経常利益率では10%を超えた企業が18社中4社、1%を割り込んだのは2社となった。R社が今回6.17ポイント増で前回の5位から順位を上げ、経常利益率14.64%で2位へ浮上。増収を経て、堅調に利益率へ反映できていることがわかる。今回最も利益率を伸ばしたのが、U社。売上総利益率では15位となっているが、経常利益率では7.11%で7位に位置している。

借入および借入依存度ランキング

 借入依存度の平均は53.04%で、前回から1.24ポイント増。前回より18社中13社で借入金が増加した。前回と同様、V社のみ借入依存度が10%台となった。借入依存度が一番高かったのはU社だが、前期より7.06ポイント減となっている。福岡市では再開発の進行にともない地価が上昇しているため、大規模な土地買収を狙うため自ずと借入金額も増大していくと読み取れる。

自己資本比率ランキング

 平均は32.03%で、前回より2.9ポイント増加した。18社中11社が前回より上がっており、60%を超えたのは2社となっている。今回1位となったのが、前回より37.63ポイント増で63.17%となったR社。大型物件の完売もあり、最終利益を13億8,640万円計上し内部留保を積み増したことで、財務内容が大きく変化した。大幅に増加した企業はいくつかみられるが、その逆は少ない。

ゼネコン&マンションデベロッパー100社特別レポート2022発刊
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福岡県内の地場ゼネコン80社、マンションデベロッパー20社の各指標をランキング

(了)

【立野 夏海】

(前)

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