九州地銀グループの実力度を検証(3)
-
前回に引き続き【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算及び【表2】の鹿児島銀行と肥後銀行の概要を見て頂きたい。
【表1】から見えるもの
(4)鹿児島銀行
・預金残高4位の鹿児島銀行は、3兆5,461億円(前期比4.8%)で、地銀平均の3.8%を大幅に上回り、1,632億円の増加となっている。また貸出金も2兆6,682億円(前期比10.0%)で、地銀平均の5.7%を大きく上回り、2,424億円の増加。経営統合する3位の肥後銀行は2兆6,695億円(前期比4.4%)で、1,131億円の増加。鹿児島銀行は倍以上の増加額を達成し、肥後銀行にあと13億円と迫る勢いを示した。また当期純利益も肥後銀行の129億円に対し、136億円と逆転。
その結果、今年10月に発足する九州FGの株式移転比率は、肥後銀行1に対して鹿児島銀行は1.11と、面目を保った格好だ。
・江戸時代は共に外様大名。島津家の薩摩藩の77万石に対し、細川家の熊本藩は54万石で、1.42:1だった。1950年代には200万人を超えていた鹿児島県の人口は、明治維新から約150年後の2015年5月末の推計では1,659千人と大幅に減少。熊本県1,787千人に抜かれ、その比率は1:1.07となっている。表【2】から見えるもの
・鹿児島銀行の資本金は181億30百万円、肥後銀行は181億28百万円と殆ど同じである。もともと鹿児島銀行は三菱系で旧三菱銀行や明治生命と親しく、一方肥後銀行は安田系で旧富士銀行や安田生命が大株主。今回の経営統合では幸いなことに、明治生命と安田生命が合併して明治安田生命となり、肥後銀行の筆頭株主になっていることだ。お互いに大株主が三菱系であることも経営統合がしやすかったと言えるのかもしれない。
・15/3月期決算における預貸金残高では肥後銀行が上位であるが、純資産では鹿児島銀行が3,196億円で、肥後銀行の3,022億円を174億円上回っており、財務的には対等以上の経営成績となっているのが分かる。
今回鹿児島銀行が経営統合に踏み切った背景には、財務内容の良い今こそチャンスとの思惑が働いたものと思われる。
ただ経営統合して発足する九州FGの主導権を握るのは、明治維新に主導的な役割を果たしたとの自負が強い「薩摩隼人」なのか。それとも頑固と反骨精神の強い「肥後もっこす」なのか。九州FGへの参加を検討している銀行のみならず、九州の覇権争いをしているふくおかFGや西日本シティ銀行グループなど、金融関係者は固唾を呑んでその趨勢を見守ることになりそうだ。(つづく)
【北山 譲】関連キーワード
関連記事
2024年11月20日 12:302024年11月11日 13:002024年11月1日 10:172024年11月22日 15:302024年11月21日 13:002024年11月14日 10:252024年11月18日 18:02
最近の人気記事
おすすめ記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す