中国経済新聞に学ぶ~中国介護ビジネスの現状と将来(後)
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中国の介護に関する政府の財政サポート
日本では、生産年齢人口のピークが1995年頃だったが、人口ピークに達する前に「国民皆保険制度」を導入した。その後、2000年に介護保険制度を導入した。法律の中身は3年ごとの実情に合わせて改正されているものの、これは世界にある意味では誇れる制度と言ってよい。
米国の国民皆保険制度もあるが、日本と違い、国民に政府や民間の保険の加入を義務付けるもので、日本の国民皆保険制度と根本的に異なる。
中国は日本の保険制度を見習って、2020年に国民皆保険にする方向で制度設計を始めている。これは、生産労働人口のピークを13年頃に迎えて、その後に制度設計されることを意味する。だが、現段階では、日本は福祉に対する財政の拠出は20%程度存在するが、中国は3%と非常に少ない。また、国民皆保険で、現段階の加入者は大都市では90%近くに達している。ただし、この割合は、サラリーマンのみ加入の数字であったり、農民工の数字が入っていなかったり、行政区を超えると、現在加入している保険が使えなかったりと、さまざまな課題がある。
財政の財布の大きさが小さく、対象に入っていない人が予測以上に多いならば、政府がサポートしてもとても追い付かないのが実情である。中国で大事にする家族観のつながり
政府が現在の中国人の家族観を大事にして政策立案することは、とても素晴らしいことである。一方、介護者は自分の子どもが1人っ子政策の世代に突入しつつあるので、介護者自身が万が一子どもの世話になった場合には困ってしまう。それを今の介護者が見越し、自分のご両親の世話をするために、施設に入れる人も増えている。
施設に入れた人たちは、周りの人や、自分の親に対して、盛んに自分自身は「親孝行」という言葉を発して、親の面倒を看ていることをアピールして、親子のつながりを確認し合っている。中国人の心の温かさをベースとして、中国の介護ビジネスは展開している。
「介護士」、「ヘルパー」の提供するサービスの定義の明確化と専門性
現在、中国では、介護士の資格取得に対して、中国政府が懸命に指導している。現実的には、家政婦が家の掃除、洗濯や家族の世話のサービスを行っており、実質それらの運用があいまいになっている。もちろん介護士としてすべきことの仕事内容のなかに、一般の人ができる内容も存在している。今後、介護士にはより専門性が求められる可能性が高い。「褥瘡対策」「リハビリテーション」「栄養管理」などがその事例である。
日本総合研究所の南雲俊一郎氏によると、欧米メジャーの多くは中国市場向け医療機器の開発や製造を中国で行っていて、中国市場にあった製品をつくっている。対照的に、多くの日系メーカーは、日本の型落ち製品を安く販売する傾向にある。
また一部の欧米メジャーは、中国の農村で一緒に病院を建てたり、地方政府と連携したモデル事業の推進、疾患対策の啓蒙、自社医療機器のトレーニングの提供を、主体的に実施している。このように、10年後の利益最大化を狙う欧米企業に対して、日系企業の多くは短期志向で利益を考えている。中長期でビジネスを構築する必要がある中国では、これではなかなか勝負にならない。
(了)
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