東芝、現実味を帯びてきた上場廃止と会社更生法(前)
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(株)東芝の米国での原発事業での損失が、最大で7,000億円規模に膨らむ恐れが出てきた。1月19日、各メディアが電子版で伝えた。当初、損失は1,000億円規模としていたが、どんどん膨れ上がった。いまや7,000億円規模。
この結果、米原発事業の累計損失は1兆円に膨れる。東芝は債務超過に転落し、上場廃止、会社更生法が現実味を帯びてきた。米原発事業の累積損失は1兆円に膨れる
東芝は、不正会計で収益力の低下を隠していたことが明るみになり、2016年3月期の最終損益が4,600億円の赤字となった。その後、半導体事業の持ち直しで、17年3月期の最終損益は1,450億円の黒字に転換する見通しを示していた(16年11月発表)。
ところが、米国での原発事業をめぐり、巨額損失が発覚する。
15年12月、米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を通じて、原発の建設を手がけるCB&Iストーン・アンド・ウェブスターを買収。この会社の資産価値を精査した結果、損失の計上が必要と判断した。米原発事業の損失は当初1,000億円程度としていたのが、いまや7,000億円に膨らむと報じられている。16年3月期にWH本体の資産価値を見直し、2,600億円の損失を計上した。17年3月期に7,000億円規模の損失を計上すれば、米原発事業の累計損失は1兆円規模に膨れる。昨年9月末時点の自己資本は3,620億円。損失額が7,000億円となれば、債務超過に転落だ。
債務超過を避けるために、東芝は「虎の子」の半導体事業を分社化して資本増強する。
朝日新聞デジタル版(1月21日付)は〈分社した新会社の株式の2割程度を手放す方針で、少なくとも2千億円程度の売却益を見込んでいる〉と報じた。キヤノン(株)や東京エレクトロン(株)などが名乗り上げているという。改めて、「東芝は奇っ怪な会社だ」と思わざるを得なかった。東芝が金科玉条としてきた「選択と集中」の経営方針に基づけば、累計損失が1兆円に達する米原発事業を切り離すのが先決であるからだ。東芝がやっていることは、その逆だ。
「選択と集中」とは、自社の得意分野を明確にして、そこに経営資源を集中的に投下する戦略をいう。1981年から2001年にかけて、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者(CEO)を務めたジャック・ウェルチ氏の経営戦略として有名である。事業のうち、ナンバー1ないしナンバー2の事業に注力する一方、弱小事業は他企業への売却ないし廃止などのリストラを行うというもの。
(つづく)
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