軍艦島迷惑料、見学者1人ごとの設定に疑問~長崎県議会
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長崎県が事実確認、事業者「値上げしない」
6月29日に開かれた長崎県議会 総務委員会で、軍艦島上陸見学ツアーの利用料金に含まれるかたちで徴収されている野母崎三和漁業協同組合(以下、野母崎三和漁協)への迷惑料の設定について、委員の山田博司県議(改革21・五島)から「世界的に誤解を招くおそれがある」といった指摘がなされた。
野母崎三和漁協は、軍艦島上陸見学ツアーの事業者5社との協定に基づき、2010年4月から、上陸見学者1人あたり100円の迷惑料を受け取っている。その事実と事業者間で持ち上がっていた迷惑料値上げの動きについて報じていたが、長崎県でも事業者や同漁協に事実を確認。同委員会において、岩田正嗣世界遺産登録推進課長は、「(上陸見学者を運ぶ)クルーズ船は1日10回運行しており、端島(軍艦島)周辺で漁ができないことから漁協は迷惑料を受け取っている」と報告。また、事業者から「値上げは行わない」との回答が得られたとした。
山田県議は、上陸見学者1人ごとに設定された迷惑料について、「20人乗ろうが、30人乗ろうが、船が島に行く回数には変わりがない」と疑問点をあげ、世界的に誤解を招くおそれがあると指摘。現状、上陸見学者の数に比例して迷惑料も増えるかたちだが、見学者の数に関わらず、島への接岸は、ツアー事業者1社2回ずつ、5社で計10回と決まっている。島に上陸する見学者の増減が、周辺海域にどのような影響をおよぼすのだろうか。ちなみに、上陸解禁となった2009年以来、見学者は右肩上がり。迷惑料もそれに比例して増加しており、上陸見学者数1人100円で算出すると、14年度は19万1,881人で1,918万8,100円となる。
この迷惑料に対する素朴な疑問が、国内外問わず、観光客の不信感につながることが危惧されている。山田県議は、「世界遺産への登録は、所有者や一部の人間で進めていることではなく、県も含めて全体で推進している。観光の在り方について、県はもっと注意を払うべき」といった要望を伝えたが、他事例の調査を行わず、当事者任せにしている県の姿勢も明らかになった。岩田課長は、「今後の(ツアー事業者の)協議に積極的にアドバイスする」と回答。松川久和文化国際部長は、他の事例も参考にする旨の答弁を行った。また、総務委員の麻生隆県議(公明党)からは、「長崎市任せではなく、一体とした取り組み」も求められた。
【山下 康太】
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