ビジネスでは厳しい局面が続く「中国野球」
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中国大陸でも最近、野球人気にかげりが見え始めている。中国では、野球リーグ「中国棒球联赛」があり、一部、二部制で、一部に6チーム、二部に4チームが所属。北京、江蘇省、四川省などが「地域」としてチームを作り、二部には「人民解放軍」のチームも加盟している。一部・二部の入れ替え戦も行われる。プロリーグというよりも、日本での「アマチュア制度」に近い。
中国リーグは2002年に発足した。8年の北京五輪を睨み、「台湾プロ野球」をモデルにしながら構築されたと言われる。実際、国内リーグの優秀選手を集めた中国代表チームが、台湾チームを倒すなど「大金星」を挙げた時代もあった。かつて日本・巨人で活躍した台湾出身の呂明賜氏がコーチとして大陸に渡って、指導者として手腕を発揮したこともあった。しかし、北京五輪のあと「野球」が五輪種目から除外されたことで、国内リーグに対するスポンサーが一気に撤退。「広告として使えない競技」というレッテルを貼られ、衰退の一途を辿る。12年、13年はリーグそのものが中断した。
昨年から再び立ち上がり、今年も開幕にこぎつけたものの、客足はほとんどない。また、選手の年俸や月俸は公表されていない。メディア側は「月収・数万円」と推定するが、実際は定かではなく、ある台湾メディア関係者は「野球選手としての給料は払われていないのではないか。宿舎で寝過ごし、都市に住めることをインセンティブと感じて『無給』でも受け入れ、その間に、別の職探しをするのが『大陸』の現状」と話す。
中国国内は潜在的に「女子バレー」や「卓球」などの人気が根強い。「数千万人が『野球』を好きだと感じている」というマーケティングリサーチをもとに、投資をしようという動きも見られたが、「野球のルールが難しい」「メディアが取り上げない」「十何億人のうち数千万しか見ないのでは大衆競技として成り立たない」といった見方が強く、商機という点では動きが鈍い。2カ月間という開催期間も、ビジネスとして強気に勝負に出られないという表れだ。
台湾メディア関係者は「中国では『ビジネスになる』と判断されれば、投資の誘導にも繋がるが、『無理』と判断されたら見切りも速い。野球そのものに希望の光が見えないなかで、大陸の野球リーグが再び活性化する見通しは暗いのではないか」と話している。
【杉本 尚丈】
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