消費者庁の専門調査会の委員の失笑は波紋を呼んでいるが、笑いたくなるのは、読売の発言だけではない。自民党国会議員は、消費者庁の官僚を吊るしあげて首根っこを押さえたつもりだろうが、笑われているのは国会議員も同じだ。最近の永田町では、官僚が自民党議員の無定見ぶりに、笑いを堪えているという。
専門委員だから素直に笑ってしまったのだが、官僚だから、笑いたくても耐えているだけである。
永田町の関係者は、「官僚は、国会議員の発言を笑ったら、首が飛ぶから、下を向いて笑いを堪えている。自民党議員の無定見、劣化は恐ろしい」とぼやく。
与党が強行採決へ突き進んでいる安保関連法案では、すでに自民党元幹部が党内議論の低さを嘆いていた。「自衛隊を北朝鮮に投入して、拉致被害者を救い出せ」などの荒唐無稽な発言に、防衛、外務両省の官僚は答弁に窮し、「ごもっとも」と聞くばかりであるというのである。
昔の自民党には、立法事実を踏まえた精緻な議論を党内でも国会論戦でもたたかわせ、議員一人ひとりが「一国一城の主」として、天下国家のビジョンを持ち、中選挙区で、自民党同士がしのぎを削り、切磋琢磨した。笑った方よりも、失笑を買う発言をした方がもっと悪い。「笑ったのは誰だ!」と懲らしめる前に、自らの定見を磨いた方がいいだろう。
【秋山 広】
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