2024年12月27日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~株暴落 中国の政治経済を直撃

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china_syanhai 世界の経済はギリシャのデフォルトへの対応に苦しみ、ユーロ離脱の可能性に苦しんでいる。同じ時、中国の株式市場の損失(3週間で30%を超える下落)は世界経済に多くのリスクを与え、さらに影響は大きくなる可能性がある。中国株式市場は6月12日に最高値を付けてから、2.7兆ドル(約16.7兆人民元)が消えた。これはギリシャの借金の6倍に相当し、ギリシャのGDP総額に相当する。
 これまで成り行きを見守っていた投資者は政府の株価安定のどんな手段に対しても不信感を持っている。たとえば銀行の利率引き下げ、公安副部長の証券監視委員会への派遣、株価をかく乱する者に対する懲罰などの威嚇、全国の社会保険基金の株購入の許可、国有企業への売買禁止と半年内の投売禁止などである。これらの措置の効果はあまりなく、政府が全面的に管掌している信頼性が揺らいで、耐え難い状況にまで陥っている。一日で8%も下落したこともある。

 中国株式市場がなぜ突然このように暴落したのか。主な原因は次の4つである。
 第一、 中国株式市場暴落最大の原因は、不動産市場が不調で、大量の投資が株式市場に流れ込んだことである。昨年7月、政府は外資のA株式市場への投資を許可、社会の資金を集めて株式市場を通して実体経済の発展を目指すつもりだった。しかし意に反して、多くの上場企業などの株主は海外の投資基金で、そのため一旦株式市場が下落し始めると、これらの海外投資基金はすぐさま中国から逃げ、株式市場の秩序を乱してしまう。
 第二、 中国の株式市場の投資者は個人投資家が多くを占め(約80%)、その数2億人余りといわれている。日本の株式市場の主な投資家が金融機関であることと大きく違う。また2億人の大多数が初心者のため、判断に迷うと投売りしてしまう。2億人の株主が一斉に投売りすれば、たとえ政府が巨額の資金を投入しても、この騒ぎを阻止することはできない。
 第三、 「信用取引」は中国株式市場が大崩れする「客観的凶器」だ。一部の株主は大学生だ。取材を受けた大学生によると、彼女の大学の3分の1の学生が株の売買をしているという。大学生の関心はインターネット経済とIT産業である。手元に資金がない場合、「1元が1万元を揺り動かす」という大志を抱いて、たびたび「信用取引」を利用して株を売買する。結果一旦暴落すれば、彼ら年若い株主たちは逃げることしか頭になく、株式市場に極度の混乱を招いてしまう。
 第四、  中国の実態経済が十分困難な状況にあって、中国の株式市場には株価の上がる材料がないのにもかかわらず、瞬間的に暴騰したりする。資本ゲームが災いしていることは明らかだ。しかし個人投資家が安易にこのゲームに乗り、暴落という結果に遭う。官制メディアや政府機関が作りだす「経済繁栄」という政治的イメージに惑わされ、揺れ動く株主の可能性を作りだしていた。
 最近の株式市場で消えた資金は、中国の経済総額の3カ月分にあたる。昨年中国の経済総量は10.3兆ドルだった。経済学者は、中国の消費者が大量の貯蓄をなくしたため、消費者が急激な支出減少を引き起こすと警鐘を鳴らす。
 北京のある中学教師は40万人民元(約800万円)の貯蓄をすべての株に投資し、わずか一週間で、株価が半分に下がってしまった。しかも手元の株は毎日10%下落しているが、自動的に取引を停止しているため売ることもできない。
 幸いなことに、この教師は株の購入に際して借金はしていない。この2年間証券会社は「信用取引」を提案し、多くの家庭が銀行や金融会社、隣人やその他の人から借金して株式市場に参加し、その利率は20%に達するものもあるという。
 さらに悪いことに多くの企業の経営者は株の価値を担保に、銀行から借り入れて融資を拡大している。30%も暴落している中、多くの企業は銀行への返済問題に直面している。実体経済は新たな打撃を受けている。

 不動産市場が数百万戸の空き家に疲弊し、数十万の輸出型工場が海外の需要の減少に直面して、中国経済はすでに停滞状況を呈し、消費者はさらに打撃を受けている。しかも中国は消費の大市場であり、日本にとっても成長の最も早い買い手である。そのため中国株式市場の暴落は世界各地の経済に大きな損害を与える可能性がある。
株式市場の下落は、中国の数か月、あるいは数年の経済政策や、経済成長、生産のモデルに深い影響を与える可能性がある。
 バブルに頼った繁栄は良い結果を生まない。政府の制御下の暴落で、政策制定者がさらに金融自由化に躊躇し、また株式市場の崩壊は中小企業の拡大を阻害することになるかもしれない。

 中国政府は2015年のGDP成長率は7%前後を目標にしている。第1四半期(1~3月)は7%だったが、7月15日に公表される第2四半期(4~6月)には、7%を切る可能性が高い。今回の株市場の混乱で、個人投資家の心理が急激に冷え込めば、消費に影響が及び、景気回復に思わぬ水を差すことになる。あの手この手で、株価下落を食い止めようとする中国政府の姿勢は、不安の裏返しに違いない。
 中国株式市場の暴落は3度の連続攻撃、まず個人の投資家が損失を受け、次は経済の成長の停滞、最後は習近平政権が政治的攻撃を受ける可能性がある。

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