溶けて溶けてどこへ行くの? 我々には覚悟はあるか(10)~もう土地は要らない
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経営コンサルをしている韓国人の友人が、「日本は潰れるのではないか。東芝の粉飾決算などを知ると驚くばかりだ。よくまあ長期にわたってこの犯罪を野放しにしているな。韓国では信じられない」と呆れている。同氏が指摘する「日本の経営者は何も決められない」という現状に接して、日本人である筆者も同様の懸念を抱く。経営の領域だけの話ではない。日本人そのものが「壊れ」ている真っ最中という感じがする。そこで、日本人崩壊シリーズをまとめてみた。
九州を超える相続未登記の不動産
所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也氏)が所有者不明の土地を公表した。この研究会のまとめによると、所有者がわからない土地の広さは全国で410万haに及ぶといわれ、面積では九州を上回っているのである(九州の面積はおよそ368万ha)。土地種類別所有者不明率は宅地14.0%、農地18.5%、林地25.7%である。
この数字をどう理解すればよいのか?普通ならば不動産が相続できるのであれば喜んで受け取るはずであるが、なぜ相続を拒否するのであろうか!!(1)名義人が死亡して名義変更がなされないということは、まずは家庭・家族関係の崩壊が考えられる。家族間の意思疎通がないままに2世代も代替わりすると連絡もつかなくなり放置されるのであろう。
(2)価値ある不動産であれば相続者間では欲のツッパリの戦いが展開される。しかし、林地・農地であればあまり金にならないし整備管理に金と肉体労働が必要となる。この苦労を嫌がって名義変更を放置するのであろうか!国内産材木の人気が高まり「林地が金になる」という認識が広まれば、林地に対する執着も強くなるであろう。しかし熊本県人吉市の山奥の林地の取引価格は1ha10万円(坪33円)だそうだ。
(3)農地・林地の売買の魅力がないことはわかる。ただ宅地でも、九州全体をみれば売買可能なところは限定されているのではないか。筆者の故郷に戻ってみると目抜き通りでも草ぼうぼうの空き地が沢山、放置されている。坪3万円でも取引成立がないのである(使い道がないから)。概算であるが、宅地取引不能の面積は60%以上にな上るのではないかと思われる。
家族崩壊を示す不動産実例
久山町の商業施設の実例を紹介しよう。スタート時は地主から賃貸であった。当時の地主は48名。20年経過してファンドが不動産を買い求めることにした。地主の20名は故人となっている。地上げオジサンが「相続名義人が130人を超えていた。北は岩手、南は沖縄に点在している。外国共住者が居なかったのが不幸中の幸い。印鑑貰いに7ケ月かかった。相続人の消息を探すのに膨大なエネルギーがいった」と嘆いていた。金になる不動産であったから連絡がついただけである。20年という時間は親戚一党をバラバラにさせることを知った。
九州山地の奥地の話ではない。宮崎県日向市の海辺から10キロほど奥に行った林地のことである。友人は相続林地50haを所有している。知人から「貴方の山の木が伐採されているよ」という警告を発してもらった。すぐに現場に急行すると確かに杉の木が切り取られ持ち逃げされた跡がある。この友人によるとトラックを乗り入れ容易なところで山林荒しが横行しているとか。山林の所有者が明確ではない、人通りが皆無という条件が絡んで傍若無人の振舞いが見逃されているのだ。
どうであれ、九州の広さを超える不動産が所有者不明土地となると国家問題として非常に憂慮すべき事態である。「土地は要らない、不動産は相続しない」流れがさらに強まることは間違いない。日本人崩壊問題、第一弾をまとめてみた。
(つづく)
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