佐賀銀行・陣内頭取 再編の主導権を逸する
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責任取らず内弁慶の陣内頭取
九州金融再編の荒波が高まるなかで、佐賀銀行が一番の漁夫の利を得られる立場にある。それなのに、どうも陣内芳博頭取は再編の主導権を逸する流れとなってきた。
もともと内向きの経歴の男であるから、その大役を担うことは無理であった。常務である上野昭久氏であれば、辣腕ぶりを発揮して主導権を握ることは可能であった。昔、同様のことがあったのを思い出す。親和銀行と九州銀行の合併のときのことである。当時の九州銀行頭取は、腕力のあった田中常務を切った。彼に合併実務交渉権を託していれば、九州銀行が大の親和銀行を吸収できていた、小が大を呑む可能性が高かったのである。回顧に浸っていても仕方がない。しかし、よくわからない事件が起きたものである。昨年8月から佐賀銀行箱崎、干隈両支店で建造物侵入、現金窃盗事件が起きった。外部者が侵入できるということは、内通者の存在があることは素人でもわかることである。その犯罪の中心人物が佐賀銀行行員・吉田淳であった。現在、被告の身で裁判中であるが、この人物がセキュリティ暗唱番号を漏らしていたそうだ。陣内頭取の責任は、何ら問われていない。
チャンスを逸する
だから編成・統合の主導権を握れなかったというのではない。まず鹿児島銀行と肥後銀行の相互の持ち株会社=九州フィナンシャルグループ誕生の背景は、上村基宏鹿銀頭取と甲斐隆博頭取が同じ慶應大学卒であるいう絆があったからという解説が一般的である。
陣内頭取がこの時点で「佐賀銀行も同盟に加わるぞ!!」と手を挙げていたならば、違う展開になっていたはず。大票田である福岡都市圏に店舗網を持っている佐賀銀行の優位性を売り込めたはずである。しかし、この頭取は、残念ながら外交交渉力はゼロ、無能である。何か幕末維新戦争の再来のような感じだ。薩長連合に、佐賀・鍋島も遅まきながら加盟したのであるが、終始主導権を握れずに終わった。
初期の段階から上野常務に、交渉担当を託せておれば大役(佐賀銀行の主導権発揮の役)を充分にこなせるパワーの持ち主であった。ただ惜しむらくは、タイミングを逸してしまった。九州フィナンシャルグループは、単独で福岡地区に拠点ビルを建設することを発表した。何よりも九州フィナンシャルグループは、福岡に橋頭堡を築くことを渇望しているのだ。
だがこの局面で、陣内頭取が「仲間に加わりたい」と意志表明を行っても、「ありがとう」と感謝されて了解されたとしても、九州フィナンシャルグループの主導権を握るのは不可能になってきた。十八銀行も九州フィナンシャルグループの傘下へ?
佐賀銀行の比重が低くなったのは、十八銀行の動向である。金融関係筋を取材すると「福岡フィナンシャルグループとの統合の芽はなくなった」という共通の認識になっている。だが、単独では生きていけない。「十八銀行経営陣は九州フィナンシャルグループとの交渉に舵を切った」という証言を耳にした。同行の選択はそれしかない。陣内頭取の時局を見る目がないという証明でもある。
2年前であれば、という前提だ。佐賀銀行の福岡都市圏での店舗数には、羨望の眼差しを向けているのである。ここで佐賀銀行側が「九州フィナンシャルグループさん!! 佐賀銀行も仲間にしてください」と手を挙げれば、物事は簡単に解決する。佐賀銀行サイドから言えば、リストラをすることから免れるメリットもあるのだったが――。
鹿児島銀行・肥後銀行側には高い恩を与えられることになる。ひいては佐賀銀行・陣内頭取が主導権を握る局面が生まれるはずだった。なのに、本人にはその度胸も器量もない。あー残念なり。前述したように、かつての九州銀行と同じ運命をたどっていくしかないだろう。昨日、記者会見で陣内頭取は「今から合併・統合があり得る」といった発言をしたようであるが、まことに対応が遅いなー。
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