2024年12月24日( 火 )

チャレンジできる企業風土を醸成 「働きやすさ」と「やりがい」を両立(前)

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三興バルブホールディングス(株)
代表取締役社長 長崎 洋也 氏

 (株)三興バルブホールディングス(HD)は、グループ企業として、九州全域で管材機材の卸売を手がける三興バルブ継手(株)、大分県を拠点として主にプラント向け配管資材を取り扱う(株)協和商会、中四国エリアにおける三興バルブHDの中核企業としての役割を担う武蔵鋼管(株)、配管部材の加工を手がける(株)エフライズを擁している。同社の長崎洋也社長に今後の取り組みなどを聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)

顧客の抱える悩みを聞き取り、対応策・解決策を提示

三興バルブホールディングス(株)  代表取締役社長 長崎 洋也 氏
三興バルブホールディングス(株)
代表取締役社長 長崎 洋也 氏

    ──2019年にホールディングス化。現在、グループ企業が3社ありますが、M&Aなどで今後も規模を拡大していかれるのでしょうか。

 長崎洋也氏(以下、長崎) 当社はグループ理念の1つに「業界やお客さまが抱えている『困りごと』を見つけ、解決に貢献する」を掲げております。近年は人手不足、法令・制度の問題など、お客さまが抱える「困りごと」が多岐にわたっています。ホールディングス化することで分社化が進めやすくなり、その結果、従来の機能だけでは対応できないような案件でも機能別に分社化することで、多様なお客さまの「困りごと」に対応できるようになるものと考えています。

 24年に適用される「働き方改革関連法」により、建設業界でも「時間外労働の上限」や「割増賃金の増加」など、順守すべき法令が増加します。いわゆる「2024年問題」です。そうすると、たとえば現場を土曜日休みにしなければならないなど、さまざまな問題が生じてくるでしょう。そうした今後起こり得る問題や、現在抱えているお悩みをお客さまからヒアリングし、それを社内に持ち帰って具体的な解決策・対応策を練るわけです。

 ──そのためには「困りごと」を集約する作業も大事になってきますね。

 長崎 当社では営業社員がお客さまごとの「ニーズカード」というものを作成しています。事前に何を聞くのかテーマを決め、ヒアリングした内容をカードに記載して集約するといったことを行っています。

 また月に1回、「ロイヤル会」というヒアリングも実施しています。とくにお取引が多いお客さまを対象としたもので、率直に当社に対する要望やご意見をおうかがいしています。そこでは、お褒めの言葉だけでなく、時には耳の痛いお叱りの言葉をいただくこともあります。そうした言葉を真摯に受け止めて、お客さまが「困っていること」「必要としていること」を集約していくわけです。 

 ──20年に配管部材の加工を行うエフライズを設立されたことで、グループ内で販売から加工まで手がけることが可能になりました。

 長崎 数多くの設備工事業者さまとの間でお取引がありますが、エフライズ設立前は販売のみのお付き合いでした。エフライズの設立により、設備工事業者さまから加工も依頼していただく機会がずいぶんと増えてきました。

 メインはあくまでも配管資材ですので、それをお客さまのもとにスピーディーかつ確実に「届ける」ことをベースにして、プラスアルファとして加工や図面作成など「つくる」という機能をもたせているとイメージしてもらえるとわかりやすいでしょう。もちろん、それ以外にもいろいろとやることがあるのですが、まずはそれらをしっかり提供させていただくことが、お客さまの現場がスムーズに回るためのお手伝いにつながっているわけです。

 お客さまが注文されてからの納期が早いというのが、当社の特徴の1つです。1947年に祖父・長崎洋六が三興バルブ継手の前身である三興商会を創業した当時から「在庫をたくさん抱えるようにして、注文があったらそれを素早く配達しよう」と常々言っていたそうです。在庫をたくさん抱えているということは、倉庫に常に商品がある状態だということです。現場は資材が、たった1つなくても動かなくなってしまいます。たとえば、朝一番に注文を受けたとして、お客さまのもとに商品を届けるのが夕方になってしまえば、その間、現場は何も作業ができません。だから、そうしたことがないよう、当社では在庫をたくさん抱えて、1分1秒でも早くお客さまのところに商品をお届けするのを徹底しているのです。

 ──どれぐらいの在庫を抱えておられるのですか。

 長崎 三興バルブ継手の本社には3万超、11ある各拠点が、それぞれ1万8,000超です。これだけの多くの在庫があるからこそ、スピーディーなお届けが可能となるわけです。

 ──3万超ですか…。商品がどこにあるか、担当の方は覚えるのに苦労するでしょうね。

 長崎 一応、倉庫には「A1」「A2」などの棚番号がありますので、どこに何があるか覚えるのはそれほど難しくはありません。大変なのは場所を覚えることよりも商品知識を身につけることです。商品を求めて来られるお客さまのなかには、当社の商品名ではなく、昔の職人さん独特の言い回しをしてきたり、他社さんの商品名を言ってきたりする方が少なからずいらっしゃいます。そうした際に商品知識が不十分だと対応が遅れてしまいます。会社としての信頼を失うことにもつながりかねませんので、商品知識に関する教育は徹底しています。

 ──三興バルブ継手のホームページを拝見しましたが、ウェブにも注力されている印象を受けました。

 長崎 現在、2名の担当で運営しており、病院の施設担当者や官公庁など各所からホームページ経由での問い合わせが急増しています。ホームページ内に配管に関する情報を網羅した「配管ジャーナル」というページを設けています。「配管ジャーナル」では、施工方法から品質管理につながる記事を動画や写真付きで掲載しており、おかげさまで好評です。アクセス数も増えているので、今後は、別に専用ページを設けるなどの必要性を感じています。

(つづく)

【文・構成:新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:長崎 洋也 ほか1名
所在地:福岡市博多区石城町12-1
設 立:1951年1月
資本金:4,500万円
売上高:(21/12単体)97億6,788万円
URL:https://sankovalve-holdings.co.jp/


<プロフィール>
長崎 洋也
(ながさき・ひろや)
1970年生まれ。福岡県出身。96年、三興バルブ継手(株)に入社。2018年、三興バルブ継手代表取締役、19年、三興バルブホールディングス㈱代表取締役社長。現在に至る。

(後)

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