英国と日本:国民国家の未来
-
(株)Global Ethics経営研究所
代表取締役社長 石塚 隆正Net I・B-Newsでは、ニュースサイト「OTHER NEWS」に掲載されたDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNET(本部:日本)はECOSOC(国連経済社会理事会)認証カテゴリー1に位置付けられている(一社)。「OTHER NEWS」(本部:イタリア)は世界の有識者約1万4,000名に英語など10言語でニュースを配信している。
今回は1月26日掲載の記事を紹介する。日英同盟(1902-1923)は、単に軍事同盟というに止まらず、日本の政治・経済・社会に大きな影響、目指すべきお手本としての影響を与えるものであった。その英国の現況を見るに、日本として考えるべき点は那辺にありや、慎重・真剣に考えるべき地合いに日本は直面している。日替わり弁当よろしく、年替わり首相を排出していたかつての日本がお手本になったのか、この6年で5人の首相を選ばざるを得なかった英国は、経済政策=金融・財政政策の融合が分からぬ首相が、徒に国民生活に不安を齎している。昨年10月20日、ボリス・ジョンソン元首相の後を受けたリズ・トラス前首相は、第二のマーガレット・サッチャー元首相の再来を目指し、大減税を打ち出してかたちだけはサッチャリズムを引き継ごうとしたが、鉄の女サッチャーの在任期間11年208日に比すべくもなく、僅か50日間の史上最短命を残し、寂しく去った。
新たに英国を率いる弱冠42歳のリシ・スナク首相の前には、UK崩壊という危機が差し迫っている。先ずは、スコットランド独立という火種だ。ブレグジットを済ませた今、2014年に続く第2回目の住民投票が本年10月に行われたら、僅差で独立しEU加盟となる可能性が高い。EU加盟の条件ともいえる加盟国への財政規律(財政赤字をGDPの3%以内に、また公的債務残高を60%以内に抑える)の達成が多難であるが、スコットランドが一歩前に足を踏み出せば、被征服意識の強いウェールズも独立に動くだろう。北アイルランドは、独立したら即アイルランド共和国への編入を企てるだろう。アイルランドはEU加盟国だから好都合だ。なんとUK・英国は、ただイングランドのみが残ったといういかにも寂しい未来が待ち受けている。
翻って今の日本に、こんな想像から日本の国の成り立ちを改めて深く考え、何をなすべきかを強く念じ、行動を起こせる政治家・行政官が存在するであろうか。今、ここで、何を考え、どう行動を起こすかが問われている。
日本の眼前に現れた北朝鮮と中国の脅威、これに対処する戦術は何か。現政権に英国同様自国存立の危機迫る今、利発な分析と圧倒的行動力があるか、根本問題はそこにある。北朝鮮が核弾頭付きの中距離ミサイルを、日本本土目掛けて容易に打ち込める現在、「反撃能力」の強化も重要だが、国民の命を守るという直接的効力からはウクライナで示された通り、地下シェルターの増設も併行して進めるという現実的判断があるかどうか。中国の脅威に対しても大唐帝国の前に、恐る恐る日本国(大和の国)を名乗り挙げた8世紀以前から、大国中国に対しては外交上恭順の意を示しつつ高度の技術や文化を輸入し、国家形成を育んできたのではないか。アヘン戦争で負けた中国を後目に新興日本は第二次世界大戦へと突き進むが、中国を見下す風潮が芽吹いたのは、この間の100年に過ぎない。
戦後の米国一辺倒の政治・経済・社会体制の構築は、敗戦国としてやむを得ない境遇であったかも知れぬが、米国の弱体化と中国の興隆の前に、日本はどう生存を維持するのか。ゼロコロナ政策で中国の景気減退が顕現しつつあるが、地球規模で考えれば21世紀はどう転んでも中国の時代になるし、米国の衰退は、翳りゆく薄明のなかでのもがきにも似ている。戦後の日米安保体制は、米国の信頼度如何にかかっているが、果して頼りになるのか。
2026年または2027年に中国が台湾を本格的に攻撃したら、米軍は逃げ出す可能性さえある。中国は極超音速ミサイルを開発している。東風17を発射されると、台湾の防衛など出来難く、同時に東風26という中距離ミサイルがグアムに着弾すれば、米国の海上軍事力は極端に削がれる。射程内に空母が侵入できなくなるからだ。沖縄だけでなく、横須賀の主力第7艦隊や横田基地の空軍も標的になる。首都圏自体が標的となり、日本の首都圏機能は大混乱となる。米軍が尖閣を守るどころか、中国が本格的軍事行動に出れば、一目散に退散する事態も生ずる訳だ。とすれば、今後の米国に、他国を守る余裕はないとみなければならない。
今後の日本の命運を米国に賭けるのか、はたまた中国の属州となり、旧モンゴル自治区やウイグルのように、中国共産党に国民が帰依し、日本民族を消し去り、漢民族の国家に民族浄化されるのか。北朝鮮と中国が敵に回したくない友好国、柔道黒帯のプーチンロシアへの帰依はないのか。日本とロシアが親密になれば、北朝鮮と中国は日本に攻めてこない。エネルギーの安定供給も期待できる。LNGの輸入もよいし、シベリアの大規模発電を支援し、電力の半分を東北地方に直接送電することもできるのではないか。
駄弁を弄したが、係る机上の戦術を閣議で議論し、首相が判断する作業をNSC(国家安全保障会議)が提案するくらいは、現実にやってほしいものである。
関連キーワード
関連記事
2024年11月20日 12:302024年11月11日 13:002024年11月1日 10:172024年11月21日 13:002024年11月14日 10:252024年10月30日 12:002024年11月18日 18:02
最近の人気記事
おすすめ記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す