経営から見る長崎J1昇格 あのジャパネット元社長・高田明氏が起した奇跡(前)
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地方弱小クラブの鮮やかな昇格劇は、まさにJリーグ史上に残る奇跡といえるだろう。サッカーJ2のV・ファーレン長崎が、初の1部昇格を決めた。今年3月、3億円を超える累積赤字を抱える長崎は給与未払いに陥り、J3降格寸前となっていた。その崩壊の危機を救ったのが、地元企業のテレビ通販大手(株)ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)の創業者の高田明氏である。今年4月に社長に就任して経営改革に着手。クラブを消滅の危機から救ったのだ。
給与未払いで経営危機に
西日本新聞(11月12日付朝刊)は、V・ファーレン長崎が来季のJ1の昇格を決めたことをこう報じた。
〈「サッカー王国・長崎」でのチーム発足から13年。経営難で存続も危ぶまれた今季、ホーム最終戦で悲願を達成。過去最多の2万2,407名で埋ったトランスコスモススタジアム長崎(長崎県諫早市)は地鳴りのような歓声に沸き、チームカラーの青とオレンジが揺れる中、再生の“立役者”、高田明社長(69)が何度も宙に舞った〉
高田氏が長崎のJ1初昇格の主役であった。ジャパネットたかた社長時代は通販番組に自ら出演し、甲高い声と独特の語り口でお茶の間の人気者になった。15年に長男の旭人氏に社長の座を譲った。
V・ファーレン長崎は、2004年に長崎県の島原半島の有明町(現・島原市)で活動していた有明SCと国見高校OBを中心に作られた国見FCが合併してできた有明サッカークラブが前身。05年に、Jリーグ入りを目指すチームとしてV・ファーレンに改称した。V・ファーレンはオランダ語のVAREN(航海する)などの言葉を組み合わせた造語。
JFL(日本フットボールリーグ)などを経て、13年からJ2に参戦した。その時から、高木琢也監督が率いる。長崎の強豪・国見高校出身で、元日本代表FWとして活躍した。
経営は火の車。17年1月期の決算は、売上高に当たる営業収益は7.4億円、最終損益は1.3億円の赤字となり、累積赤字は3.3億円に膨れた。クラブの存続が危ぶまれる事態だ。
選手の給与が払えないことを知ると、高田氏は迷わず支援を表明。3年間で10億円以上の資金投入を明言した。クラブの運営会社の株式を買い取り、V・ファーレンをジャパネットHDの100%子会社とし、今年4月末に自ら社長に就任した。
社長就任時の4月は4勝1分け4敗の9位だったが、以降は19勝7分け6敗と上昇気流に乗った。8月末からクラブ新記録の12勝負けなしで駆け抜けた。高田社長は「長崎の奇跡!」と甲高い声で感激したという。
(つづく)
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