大丸別荘問題、海外でも報道 揺らぐ信頼
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筑紫野市の老舗温泉旅館・大丸別荘が、浴場の湯の取り換えを年2回しか行わず、最大3,700倍にもおよぶレジオネラ属菌が検出された問題は、国を問わず世界中のニュースサイトでも報道されている。
英字系メディアの多くはアメリカCNNと提携するテレビ朝日の報道として引用し、同旅館が歴史と由緒ある高級温泉であることや、レジオネラ属菌のリスク、発覚にいたる経緯や山田大丸別荘社長の会見まで詳細な内容を伝えている。記事中では、とくに日本の温泉や衛生管理に対する論評は見られないものの、同ページ中に関連する記事として、日本の伝統的温泉を紹介する特集ページがリンクされた記事などもあり、日本の温泉に対する関心の高さがうかがえるだけに、当該問題によって日本の観光や温泉への信頼に影響を生じることが懸念される。
中国の新華社通信も、温泉の研究者として知られ同旅館にも何度も訪れている札幌国際大学名誉教授の松田忠典氏をインタビューした毎日新聞の記事を引用する形で、今回の事件が日本の温泉業界に及ぼす影響や、温泉大国である日本がコロナ後のインバウンド再開にあたってしっかり対策を取るべきという意見があることを伝えている。
日本の温泉や銭湯文化といったいわゆる「裸の付き合い」は、日本独特の文化として世界中の関心を集めており、外国人観光客でそれを目当てとする人は少なくない。その関心は、日本人の衛生観念の高さに対する評価に支えらえていることを忘れるべきではない。温泉は多くの宿泊施設や観光地の付加価値であり、日本の観光資源として重要なオプションである。国や自治体、関係団体が一丸となって再発防止と信頼回復に努める必要がある。
【寺村朋輝】
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