楽天、苦し紛れの「虎の子」上場、切り売りは解体の始まり
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22日、楽天は、完全子会社の楽天銀行を東証プライムに上場すると発表した。上場予定は4月21日。上場後も楽天の保有株式比率は63%以上に保たれ、楽天銀行は連結子会社として維持される。
想定時価総額は3,000億円、公開株式数は6,000万株弱(全体の約36%)、1株あたり想定価格は1,630円~1,960円とされる。調達規模は1,000億円程度となるが、初値が維持されるかに関して、市場関係者の見方は厳しいようだ。
なぜこのタイミングで上場か
コロナ禍で急成長した楽天銀行は楽天の「虎の子」だ。楽天経済圏とのシナジー効果もあって、売上、利益とも成長は堅実、コロナ禍では快進撃を続けていた。しかし、2020年に本格参入したモバイル事業の資金繰りもあり、21年9月に上場準備開始を発表していた。楽天も安売りする気はなかったと見えるが、22年のウクライナ戦争で上場のタイミングを逃してしまい、上場予定は有耶無耶になる。その後、楽天は資金繰りのために急場をしのぐ社債を連発する状況だった。
なぜ、このタイミングで上場なのか。欧米発の金融不安の真っただなかで決して市況はよくない。しかし、5月半ばに予定される第1四半期(23年12月期)の決算発表まで待てないというのが正直なところではないだろうか。
楽天は22年12月期連結決算で、最終損益3,728億8,400万円の赤字、原因のモバイル事業は単体で4,928億3,000万円の赤字だった。決算発表で三木谷社長は、モバイル事業単体で月あたり150億円の赤字圧縮と、増収による黒字化を目指すと宣言した。だが、赤字圧縮とは別に月200億円弱の利益を積み増すことは厳しい。結果としてモバイル事業単体の黒字化はもとより、グループ全体での将来的な黒字化の見込みすら、いまだ示すことが厳しい四半期決算になると思われる。
よって市況が悪くても、もはやこのタイミングである程度の値を付けて市場に送り出さなければ、モバイル事業のあおりを食って、虎の子の価値を毀損する一方との判断であろう。しかし単発の1,000億円ではどうにもならない。この上場は事実上、モバイル事業によって奈落に引きずり込まれた楽天の解体の始まりとなる可能性が高い。
楽天銀行、上場の概要
募集株式数:555万5,500株
売出株式数:5,395万1,300株(国内売出し:2,836万3,400株、海外売出し:2,558万7,900株)
オーバーアロットメントによる売出数:上限446万3,000株
上場後、親会社「楽天グループ(株)」の保有株式数:1億1,051万2,580株、保有比率:63.33%※(※オーバーアロットメントに対するグリーンシューオプションが行使された場合)【寺村朋輝】
法人名
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